アマゾン(下流)の場合
アマゾン河口に位置するパラ州(ベレンが州都)のある場所です。
アマゾンの森林破壊が叫ばれています。宇宙から見た映像と写真を載せました。

1997年のレーダ画像(レーダサット)


1986年のフォールスカラー画像(ランドサットデータ)

  1986年 1997年 状況 利用例
裸地 裸地 開発進行継続 牧場
裸地 植被 植生再生 果樹園・二次林・牧場放棄地
植被 裸地タイプ1 新規開発進行 新規牧場
植被 裸地タイプ2 新規開発やや進行 新規牧場
植被 植被 植生維持 森林
(左中央下の広大な灰色はインディオ保護区)
雲域 対象外  

(青)は1986年に裸地 
(赤)は1997年に裸地 
(白)は1986年も1997年も裸地の状態


上の図の解説です。
現場の写真です。

インディオ保護区近くの森
(天然林)
国道近くの牧場
(森が無くなって5年くらい)
コショウ園
(去年まで天然林)


黄色い点線が示すように魚の骨のように広がる熱帯林の森林開発跡「フィッシュボーン」と呼びます。魚の骨といわれるように、黄色い点線が道。その道に従って人が入植。
20年間、四国とほぼ同じ面積(1万7千km)の森が無くなっていきっているそうです。森がなくなるというのは、木が無くなるだけで土地はなくなりません。
1960年代にブラジルでは、土地無き貧民に土地をわたし農業で自立できるようにとと、アマゾンへの入植を積極的に勧めました。ナパーム弾を使ったりして原生林と戦いながら5,500kmに及ぶアマゾン横断道路を作ったのです。道路沿いから次第に森が無くなり、「フィッシュ・ボーン」のパターンがアマゾンのあちらこちらで見えます。



参考までに他のアマゾンの衛星画像です。(上は2003年5月19日撮影:下は1993年10月02日と 1994年05月10)
非常に分かりやすい画像です。宇宙航空研究開発機構さんのご厚意で使わせてもらっています。
http://www.eorc.jaxa.jp/
痛々しい大地が分かるかと思います。



黄色に色づけしているのが牧場経営のために切り開かれた場所です。
Rio Negro、Rio Solimoesということなので、マナウス近くのアマゾン中流域です。
ここでの移動は川沿い。船で運搬です。

牧場経営

コショウ栽培等農業に利用
地力が落ちれば放置して灌木が生えてきます。

入植すると森から町に変身

新しくできた町の周辺は牧場や果樹園に

牧場といっても肉牛用
2haで1頭飼育できればいい状況

オレンジの果樹園
オレンジジュースになって市場に流れます。

日系移住地トメヤス
コショウ栽培で成功した入植地

森の中に忽然と牧場
多分政治家か有力者が土地を得たのでは?


小さな空き地は土地無し農民が行う農業
しかし長続きせず、知識もなく数年でおじゃん。借金で土地を手放すことになるんです。そして、土地を放棄して他の森に移動。

放棄した土地は、金主のもとへ。で金持ちは牧場経営をそこで始めるんです。気付けば、広大な牧場が

土地無し農民に土地が行き渡った姿
かつてあった森はありません。

国道から奥地に進む道

希望がないわけではありません。
EIDAI DE BRAZILという会社が牧場跡地に植林を始めました。20年すれば、ここから木材が出ます。他の木材会社も追随するでしょう。資源の確保が急務になってきたからです。もし肉牛より高く木が売れれば、牧場主というより金持ちは儲かる方に経営をシフトします。


森の再生 From アマゾン
こちらにその取り組みを紹介しています。

森が残っているのはインディオ保護区。
でも彼らも牛を飼い出せば森はなくなります
原始的な生活を続ければ良いのかといえば、そんなことをいえる人は誰もいないでしょう。誰だって豊かな生活を夢見ているんですから

さて、問題です。

木材伐採が森林破壊ということがいわれますが、木材伐採だけでここまでなるでしょうか。
もちろん、この写真だけでは片手落ちですけど

もちろん、売れる木は伐りだして売ります。持続的ではない森林経営(後に農地や牧場になるため)のため、違法伐採された木と分類されます。この売れた木が、農地を作るためのブルドーザーなどの燃料費をまかない、臨時収入となります。本当の収益は森を切り開いたあとから入ってきます。肉牛やオレンジ、コショウなどの農作物で、毎年毎年収入が入ってきます。
(林業はユーカリでも7年、普通は15年、チークは60〜80年と時間がかかります)

でも、熱帯材を使わないことが森を守れると本気で言えますか?
使おうと使わまいと森がこのようにして消えていくのを見れば、意味のない行為だと思いませんか。

森を戻すのであれば、森を作ることです。でも使えない森を作ってもそこで暮らす人には生計の足しにもなりません。ならば、生計出来るように売れる木を植えさせるのです。果樹の森でもかまいません。合板用やチップボード用の安い早生樹の森でもかまいません。少なくとも木を植えれば炭素固定には貢献しますので。
持続的に森林経営をすれば環境に配慮した森林経営になります。詳しくはこちら

ここで生産された肉がどのような方法で流通過程にのって消費されるかについては分かりません。無責任ですが、専門外(森の利用・再生が仕事なので)だからです。ただ文献を読むと輸出されています。ただ使い方までは書いていません。人の口に入るのか、ペットの口に入るのかは分かりませんが。
もちろん国内市場で消費もされます。狂牛病はないので売れているそうです。

本音をいえば虚しさがあります。
資本主義がいけないのでしょうか。拝金主義?それとも自然と闘うのが人間の性なんでしょうか。
人は何処へ行くんでしょうかね

アマゾン(下流)の場合
きこりのホームページ http://www.kikori.org