中南米の場合
その1 サトウキビ畑 ヨーロッパのため
スペイン・ポルトガルの新大陸進出で最初に行ったことは、地力の肥えているところの森を伐採し、サトウキビ畑にしたんです。
今でも海岸に近い開けたところは、サトウキビ畑です。
 
このとき、マヤやインカの人たちが労働力として、強制的に集め、こき使われました。あまりにも、過酷だったのと、旧大陸からの病気で多くの人が死んでしまったんです。正確には殺されました。博愛の徒キリスト教徒に

8000万近くいたインディオの人たちは気付けば400万人に。20人中19人が死んだことになります。その失った労働力を補うために、アフリカから、黒人狩りをして、ラム酒(サトウキビの絞りかす)と黒人を交換したんです。

奴隷を集めたアフリカの酋長にラム酒1樽で100人とか

5000万人のアフリカ人が移動し、4000万人が、移動中の船の中で死んでしまったとか。あまりにも、過酷な環境で蒸し風呂状態のなかで、殺されていったんです。(5人に4人が死んだ??)

このせいで、中南米のインディオの人たちは、豊かな土地を追い出され、社会の底辺で暮らし。
アフリカでは、その時の人材の流出でいまだに貧しいと500年も前の出来事がいまだに響いています。


森林資源を守っています。この紙はサトウキビを使用。そんなのが書かれている名刺やパンフレットがあります。でも、本当はもともと地力のある豊かな森林だったのをサトウキビ畑にしたんです。
そして今でも、砂糖をとるためにたくさんの木が薪として、使われています。煮詰める燃料として
廃物利用、リサイクルという点では非常にいいと思いますが、少なくとも森林資源保護というのは、
?????です。

16世紀にスペインが西インド諸島のサント・ドミンゴ島(イスパニオラ島)で始めたのが、砂糖革命(Sugar Revolution)とも言われる現象です。この結果、砂糖が普通になり、ヨーロッパの一般庶民にも手の届くもの、贅沢品で無くなったのです。森林が無くなった結果、イギリス人は、甘い紅茶を飲むことが出来るようになりました。




バナナ畑(ホンジュラスの低地)
その2 アメリカのフルーツ畑
次々とスペインから独立すると、次にアメリカが進出しました。米西戦争はアメリカの中米進出のための戦争。

進出したアメリカのフルーツ会社は、森を畑に替えたんです。サトウキビ畑以外は森だった(多分)ところを開発したんです。アメリカ人のためのフルーツの生産工場に、バナナ、パイナップル、オレンジといったフルーツの工場に森が果樹園に変わったのです。

ホンジュラスはバナナ共和国という別名があったのです。

中米における内戦などの争いごとにアメリカが介入したのはフルーツ会社がアメリカの企業だったからです。過酷な労働条件下で働かされているのは、安くアメリカの人が果物を食べるため。
果樹園の労働者の福祉向上は、フルーツ価格の上昇。社会主義政権の登場は安く果物が食べられない。アメリカ国民の怒りを買うという困った事態を招くことに。だから、アメリカのフルーツ会社を守るため、農地を維持するため国有化はもってのほか。

内戦で隠していた武器弾薬が、最近自然発火して、山火事が起こるということが多発しているとか。内戦が終わっても、森が無くなっていきます。
また、このときの軍のとった行動は森林からの狙撃を恐れて、見晴らしを確保するため、森を切って開けた地にしました。だから、木がないんです。

森がまだあるところ
そこは、蚊が多いマラリア地帯であり湿地帯
だから残っているんですけど




その3 牧場&ペットフード
牧場を持ちたくさんの牛を飼うことが人生の成功と信じているのがヨーロッパから来た人々の末裔何故なのか、作者も知りたいけど、森がないのが気持ち良いらしい。 

さらに悪いことに、新芽を出すため、火を入れます。火を入れると、地面が焼き物のようになって固くなります。森を作るにも、ほっといても勝手に木が生えるということがないのです。

地味の悪いところの牛は味も悪いらしい、だから売れないので、ペットフードの原料に使われるとか。ペットフード(もちろん牛肉使用)の中にはもともと森だったところから、来ていることがあるそうです。

広大な牧場になればなるほど、政治家が絡んでくるのも問題です。マネーロンダリングに使うからです。牛の管理なんぞ広すぎると分かりませんから税務署をだませるのです。牛に投資し、牛が死んだので損したといえば、儲けないわけですから税金がかからないんです。そして、闇で牛を売るんです。そうやって、政治家は損したといって税金を納めないんです。政治家は金持ち。そして国会議員。自分たちに不利な法案は作りません。

荒廃した牧場を森林に戻すには政治の力も必要です。しかし、荒廃した牧場でも違う意味で利益があれば、森林に戻すよりそのままの状態に価値があれば森が戻ってきません。そこに大きな問題があると思っています。

国情によって異なりますが、牛1頭3万円前後です。
仔牛が1万円で取引されるとして1000ha持っていると言うことは、3000万円の資産(1000頭)
日本並みの物価にあわせると3000万円が1億5000万に化けるんです。金持ちはもっともっと土地を持っています。人口の一桁の人達で国の半分以上の土地を占めていることが、当たり前の国が多いのです。





アマゾンでは1頭あたり1ha(100×100m)は必要
100頭で1平方キロ 
甲子園球場のグランドでは2頭は無理です。


全部牧場:パナマより
鬱蒼とした森林がかつてあったとは思えません。
そして、ここに日本の有名な焼き肉チェーン店が買い付けに来たそうです。ただ質が均一でないということで、商談はダメになったとか。さて、その焼き肉屋の肉は何処から肉でしょうか?もしかしたら森を食べた牛さんかもしれません(T T)
その4 貧困対策
アマゾンの森林減少の一番の原因の気がします。
それは、開墾者に土地の所有権を、与えるということです。都市で失業した人々、職が持てなかった人々は無限にあると思われたアマゾンに入って農業をはじめました。これは、当時の政策の一つです。
「土地なし農民に土地をというスローガンのもと」
アマゾンを開拓していったのです。

しかし、問題は、熱帯での農業が難しいということです。
土地は非常に痩せていて養分がありません。また、病虫害が発生しやすい。それ以前に入植した農民に農業の知識がないことと、トレーニングが不十分のまま入植したことです。 
初めは、農業をしようとしたのが、上手くいかず、横着者での怠け者でも出来る 牧畜に手を出したのです。日本の牧畜と違って、手間をかけません。野に火を放って、新芽がでると、それを牛が食べるといった粗放なやり方なのです。そして、時期が来れば売るということで、非常に楽なんです。

でも、経営能力がないので、借金をする生活へ、手間を惜しむからです。そして夜逃げして、さらに奥地に進んで、同じことの繰り返し。気付けば、衛星からハッキリ森がないのが分かるまでになってしまったのです。そして、借金のカタに取り上げられた土地は、銀行やお金持ちの元に集まって大規模な牧場になります。
こうなると、森に戻りません。



その5 羊が700万匹
中米グアテマラ。
海岸地帯から3000mの高原まで垂直分布した自然が多様な国。この国の高原地帯はあまり木がありません。一つは森林限界を超えているから。まぁこれは仕方ないです。しかし、ウェウテナンゴ周辺の山の斜面が草地になっているのは、スペイン人がヨーロッパから連れてきた羊のため。
山を焼いて草地にしたんです。羊毛をとるためです。
なんと、ヨーロッパから700万匹連れてきたとか

500年前の事件が未だに尾を引いています。


このようにして植林をしていますが成林するのは何十年先の事やら。
(同じ場所)





グアテマラの高原地帯
草むらはその羊の残骸




標高3000mのインディオの村(グアテマラ)
これ以上森をなくすわけにはいかないと言うか、ギリギリの責め合いで森が残っています、森(来)が無くなれば、薪や農業の緑肥が手に入りません。でも、森を伐らないと収入が増えません。
その6 生きてゆくために
下の写真は、グアテマラのある火山。同じ山の写真です。急峻な斜面をインディオと呼ばれるマヤの人々、スペイン人が来るまで豊かにすごしていた人々の子孫です。

何故、こんな急峻な土地で農業(正確には焼畑)をするのか。理由は簡単。土地がないからです。何故、土地がないか?理由は豊かな土地はスペインから来た白人に奪われたから。
人の住めないような所に追いやられたんです・

この山の中腹まで白人に土地を奪われた人々の子孫が農業しています。森が無くなるんです。森が荒れるんです。(グアテマラの高地)
豊かな地を奪われた人達は、何処でどうやって生きていけば良いんでしょうか。グアテマラ、メキシコ、ペルーにボリビア、先住民の暮らしを何とかしないと、じわじわと森が消えてゆくんです。肥沃ではなく農業には適さないと言うことで白人が奪わなかった森林地帯。そこに追いやられた人々は、森を切り開いて生きてゆくしかないんです。
森が徐々に疲労して、土地が痩せ細り、元気がなくなり、仮に人がいなくなったとしても、森に戻る力すらなくなるんです。(人がいなくなれば、家畜がいなくなれば数十年で戻るとは思いますが、場所によっては無理なところもあります。)

その8 力の空白
太平洋と大西洋を結ぶ運河。パナマ運河に運行の危機が訪れようとしています。理由はダムの貯水量の低下と堆砂の問題。

それは水源地に位置する森林が次々と消えているから。不適当な焼畑によって。
アメリカを代表するバカな大統領ジミーカーター。1977年い署名するんです。パナマ運河から米軍の撤退を決めたのです。で1999年に返還。
それまで、アメリカ艦隊を移動させるためには、パナマ運河の安定した運行が重要ということで、水源地帯を抑えていたんです。運河の幅5qは立ち入り禁止区域をはじめとする森林を守っていたんです。

自国に他国の軍隊があることが良いかどうかは考えさせられますが、米軍の撤退という力の空白が、土地無し農民(牧場経営などに失敗した人達など)が容易に森林に侵入したんです。侵入しているんです。

生きてゆくためとはいえ、力の空白地帯に進出したんです。もし米軍が撤退などしなければ、貴重な熱帯林が守られたかもしれません。

運河に接する森林を開発してリゾートにしようとする運動もあります。米軍がいた時には言い出せなかった計画だったのかもしれませんが。



その9 牛様・羊様
アルゼンチンやウルグアイ、パラグアイも例外ではありません。特に、1980年代のアルゼンチンは、年間160万haの森林が破壊され、ブラジルに次いで世界2位だったこともありました。この時の森林伐採は、林産業の盛況を受けての過剰伐採だったのです。

まぁ、アルゼンチンは、それ以前に、革細工用のなめしを取るため、チャコ森林において、タンニン抽出用材としてケプラーチョ(Quebrachia spp.)を大量に伐採しました。伐った後に植えるか放置しておけば良かったのに、スペイン人特有の癖か、伐採跡地をキレイにするために、火を放ったのです。

こうなると後継樹になる稚樹も何もありません。土地生産性の低いから農地や牧場にならず森林だったのに、生産性の低い牧場へと変わっていきました。

それから、アルゼンチンは、19世紀の後半には40%の森林率であったのに、21世紀に入る頃には13%。わずか100年の間に、100万km2の森林が、36万km2に減ってしまったのです。しかも、閉鎖林は、8万km2と、3%の森林率しかありません。後はスカスカの疎林です。

ウルグアイもパラグアイ、そしてチリまで開拓者によって、ほとんど農地と牧場に転換されました。森林減少=開拓の構図なのです。


その10 鉄道の発達
 ブラジルサンパウロ州にあるサントスは、コーヒーの一大輸出港です。このコーヒーを巡って森林の消失がありました。
 コーヒーの生産地からサントス港までは、何らかの方法で輸送しなければなりません。このコーヒー(だけではないけど)の輸送でも、サンパウロ州の半分の森林が無くなったといわれています。理由は、蒸気機関車です。普通、蒸気機関車は石炭で動きます。しかし、ブラジルでは石炭があまり取れず、アフリカからの輸入でした。しかし、不安定な供給体制であったため、石炭ではなく、薪を燃やして蒸気機関車を動かしていたのです。大量の木材が、蒸気機関車の燃料として、消えていったのです。人の干渉がないときは、82%の森林率を持っていたといわれています。1854年時点で80%、1907年で58%、1935年で26%、1952年で18%、1973年で8%になります。208万ヘクタールになってしまいました。
 ブラジルサンパウロのコーヒー開発の陰には、この様な負の歴史もあります。インドもそうですが、鉄道網の発達の陰に、森林消失なのです。

サンパウロ州の鉄道会社は、天然林から人工林に燃料の確保先を変更します。世論の声もあったでしょうし、薪の確保が難しくなったのだと思います。ユーカリ造林がその始まりでした。今では、製紙用ですが、ユーカリ造林のそもそもは、鉄道の燃料確保だったんです。

地域の細分 陸地面積 2000年の森林面積 1990-2000年間の
森林面積の変化
森林蓄積と地上の
バイオマスの量
天然林 植林地 森林計
千ha 千ha 千ha 千ha % ha/人口 千ha/年 m3/ha トン/ha
中米 241,942 72,300 729 73,029 30.18 0.5 -971 -1.2 86 93
カリブ海諸国 22,839 5,145 566 5,711 25.01 0.2 13 0.2 57 96
北米 1,837,992 454,326 16,238 470,564 25.60 1.5 388 0.1 128 95
その他の北・中米 34,193 - - - - - - - - -
北米・中米計 2,136,966 531,771 17,533 549,304 25.70 1.1 -570 -0.1 123 95
非熱帯南米 367,248 47,911 3,565 51,476 14.02 2.9 -255 -0.5 67 130
熱帯南米 1,387,493 827,252 6,890 834,142 60.12 2.6 -3,456 -0.4 29 208
南米計 1,754,741 875,163 10,455 885,618 50.47 0.8 -3,711 -0.4 125 203
世界計 13,063,900 3,682,722 186,733 3,869,455 29.62 0.6 -9,391 -0.2 100 109
中南米の場合
きこりのホームページ http://www.kikori.org