スペイン王国
Kingdom of Spain
     
  チョコチョコ
チョコには降参イエスズ会
悪酔いしない方法
国がとれずとも森を破壊せよ
最高級はドングリ 
二本の軌道が交わる駅を守る人工林
スペイン版里山デエサ(dehesa)
       
 
チョコチョコ
チョコレート(カカオ)がヨーロッパに最初に上陸したのは、1492年のコロンブスの遠征。しかし、当時は飲み方が分からず、放置したんだそうです。関心すら示さなかったとか。本場のアステカ(メキシコ)では、唐辛子を入れての飲み物だったから?

1502年にスペインの貴族エルナルド・コルテスによって新しい飲み物として再び登場。この時は、お湯、砂糖、バニラを加えて飲みやすくしたんです。アステカではショコラトルと呼ばれていたので、ショコラと呼ばれるようになりました。

おもに、王族・貴族の嗜好品となったそうです。


チョコには降参イエスズ会
イエズス会といえば、フランシス・コザビエルをはじめとする有名な会派。

ここの会士もチョコレートにはまったそうです。チョコレートなしではダメと。こうなると身に入らないと言うことでチョコレート禁止令が出たとか

結果は、脱退者が増加

そして、チョコレート禁止令は撤回されたとか


悪酔いしない方法
スペインといえば陽気な人達のイメージ。陽気に騒げば、酒が進みます。酒が進むと悪酔いが待っています。でも、スペイン人は悪酔いはしないんです。

その理由はオリーブオイル。お酒を飲む前にスプーン1杯分飲んでいると良いとか。


国がとれずとも森を破壊せよ
1588年に起きたビックイベントは、無敵艦隊がフランシス・ドレーク率いる海賊上がりのイギリス海軍に敗北したこと。

海軍力を弱めることが、生き残る道と考えたスペイン海軍はもしイギリスが平定できなくても、イングランド南西部に広がるディーンにあるオーク林だけは破壊せよと命じられていたそうです。

ス ペイン王フェリペ2世は英国征服を目指し、1588年5月になんと130隻、3万人以上を乗船させたメディナ・シドニア率いる無敵艦隊を送り出したんで す。本気でイギリス上陸を考えていたので、うち2万人は陸戦隊だったそうです。7月末プリマス沖の海戦、8月8日グレイブラインの海戦で相次ぐ敗北。ス コットランドを迂回して帰還を目指すも半分を喪失し大敗。スペインに帰還したのは半分以下の54隻。これを機に海洋覇権が落ち目になるというスペイン没落 の兆しになったんです。

両国とも軍艦はオーク材で作られていたんです。だから、イギリスのオーク材が枯渇すれば、英国海軍は滅びると読んでいたんです。結局は、ディーンの森をとることは出来ませんでした。


最高級はドングリ
スペインを代表する食べ物。日本人にとってのマグロのトロみたいな扱いになる生ハム。最高級がアンダルシア地方のハブーゴ村産のイベリコ豚の生ハム。

イ ベリコ豚は、スペイン原産の黒豚。この黒豚の後ろ足部分が最高級とのこと。この最高級の生ハム(de Bellota:ベジョータ:ドングリの意味)を作るには、豚にストレスを与えないこと。100kgまで太った豚に、オレイン酸たっぷりのドングリを食べ させて150kgまで太らせるのです。Dehesaとよばれる樫の木の森の中で、放し飼いなんです。放牧の開始は、ドングリが地上に落ちたときから。

Dehesa(デエサorデヘサ)と呼ばれる地中海性広葉樹林で、Quercus ilex(セイヨウヒイラギガシ、holly oak,holm oak), Quercus rotundifolia(トキワガシ:holm oak), Quercus coccifera等で構成されている昔ながらの森林なんだそうです。トルコや北アフリカにも分布しているそうです。


    二本の軌道が交わる駅を守る人工林
雪崩から駅舎を守るために、山の斜面に800万本の植林をしたんです。ピレネー山脈の中にあるカンフラン駅は、フランスからスペインに渡るときの最初の駅だったんです。国境の駅ということで、栄えたのですが、1970年にフランス側の橋が落ちたために、運行中止となり、世界一美しい廃墟と呼ばれるようになりました。

スペイン版里山デエサ(dehesa)
デエサとは、古代地中海沿岸の生態系が残る森林地帯のこと。
スペイン及びポルトガルの山岳地帯(中央高地及びシエラモレナ山脈)の山麓丘陵及び緩斜面にある森林で、夏は暑く乾燥し、冬は寒く湿潤な気候となっており、典型的な地中海気候に属します。

森林はコルクガシ(Quercus suber)、トキワガシ(セイヨウヒイラギガシ:Quercus ilex)等が優占。ただし、うっ閉林にはならず、20〜100本/ha、樹冠被覆率は10〜50%と、乾性硬葉樹林が斑状に分布。

デエサの利用の歴史は古く、土地生産性が低いこともあり、家畜の放牧が主な利用。家畜は、草本や潅木、稚樹を食べて育ちます。なお、家畜の種類は、羊に豚、牛など。

コルクは、コクルガシの皮剥ぎ無しでは、始まりません。一度剥ぐと、9〜12年間寝かせます。1本の木からは最短9年毎に収穫するスタイルです。なお、林地を荒らさないために林道を作らず、ロバや馬など畜力で運搬するとのこと。

コルクガシは、ワインのコルクに長年利用されてきたが、スクリューキャップまたはガラス栓の登場で、衰退へ、コルクガシの天然林は、構造材などの植林地に転換中。.
1950年代の食糧危機を転換点として、農地への転換も進行中。加えて、アフリカから侵入した豚コレラで、イベリコ豚が減少したことも、森林減少=農地の拡大へ。

イベリアカタジロワシ、クロハゲワシ、ナベコウ、イベリアオオヤマネコなどの希少種の生息地としても有名。ただ、今後も維持できるかは不明。

カシ林のドングリや下草などの伝統的な利用は、地元の共有の権利として営まれてきた入会権である。ちなみに、イベリコ豚は、この森林にいるブタのことです。

元々は、密林かつ雲霧林だったようです。人間の営みが、自然の本来の姿を変えさせたとも言えます。そういう意味では、スペイン版の里山ですね。天然更新させないために、下層植生は7〜10年毎に刈り払います。理由は、豚の餌になるカシ類以外の植生を生やさないこと。今の姿は、この様に人為的な森林なのです。