メキシコ合衆国
United Mexican States
     
  アステカの染料
畑が浮いている?チナンパ
悪魔だ・・・・キノコ狩りだぁ
緑の黄金 
テキーラの原料アガベ 
イチジク科の樹皮紙アマテ
       
 
アステカの染料
スペインをはじめとするアメリカ大陸への侵略の中で、ヨーロッパ人が驚いたことの一つに、衣類の色の鮮やかなこと。染色のすばらしさに、何も言えなかったとか。

そして、ヨーロッパ人は、これらの染料を略奪し、資源を枯渇させたんです。資源が枯渇したため、それを別の形で補おうと、消費地であったヨーロッパでは新しい学問と産業が誕生したんです。

資源不足を補うため、化学が発達して化学染料が誕生するのですが化学の発展のために犠牲に植物達の話です。

また、安全ということで脚光を浴びてきていますが

(1)コチニール

メキシコの先住民の染料の一つ
この赤い染料は、イギリス陸軍のコートの赤色に使われているとか。

そんな染料は、エンジムシ(Dactylopius coccus)と呼ばれるカイガラ虫の仲間で、メスの体を使っているのですが、この虫は、ノパルサボテン(Nopalea coccinellifera)というサボテンにしかつかないです。

昔から、赤の染料をとるためにこのサボテンを大事にしていました。

(2)アチオール
明るい黄色を染めるための木の実
ベニノキ(Bixa orellana)の実から染料をとります。
マーガリンの着色にも使われていてバターより
輝いて見えるのはアチオールのお陰だとか





水の並木道



土を留めます

畑が浮いている?チナンパ
アステカ時代の浮き畑で、現在も続いている農法。Chinanpaと書きます。
焼畑によるトウモロコシ栽培だけでは、都市の人口を養いきれなくなり、その生産 方法を常畑による持続ある農業生産に切り替えるため、メキシコシティー他、多くの浅い湖で行われた農法です。

湖を埋め立てるのではなく、水上で枝や草の上に土を乗せて、農業を行うのです。

基本的 に、施肥は行わず、地力が落ちると、湖の底にある土を運ぶという行為を絶えず行い、持続する農法で、現在は、花卉類や野菜を生産しているんです。

湖とチナンパとの境に樹木を植えており、木の根が堤防の代わりを担っている。メキシコシティー郊外のソチミルコにおけるチナンパは、世界遺産に登録されており、都市近郊の行楽の地としての場として提供されている。



今はメキシコシティー向けに花を作っています。
悪魔だぁ・・・キノコ狩りだぁ
征服したスペイン人が見た信じられない風景。ガチガチのキリスト教の神父にとってみれば許せない行為。幻覚キノコを食べている先住民は、悪魔と交流していると現地の風習を無視して自分たちの常識で相手の文化を破壊したんです。

幻覚キノコは締まりのない顔になり、ヘラヘラ。悪魔と交流しているというので弾圧の対象に

ちなみに、幻覚キノコはインディオにとっては儀式に不可欠なもの。だから、キノコ狩りは、新月に、しかも処女(巫女)が、森で集めてこなくてはならなかっ たとか。そして、テオナナカトルと呼びました。神の肉(神々の食べ物)という意味のアステカ語です。2000年以上も歴史があったそうです。




緑の黄金
竜舌欄(サボテン)の一種、エネケン
船のロープに最適で19世紀前半には、ヨーロッパに輸出されていたかつての輸出産品。

マヤの人達が昔から利用していた繊維。マヤ語でサッキ、英語でザイザル。シサール港から積み出されていたのでシサール麻と呼ばれたり

貧しいユカタン半島にもたらした富がエネケンだったんです。緑色の黄金と呼ばれていたとか




テキーラの原料アガベ
 メキシコが誇る蒸留酒であるテキーラは、アガベの一種であるブルーアガベ(Agave americana)が原料。学名の意味は、高貴なアメリカだそうです。リュウゼツラン科アガベ属です。
 7年かけて育てたアガベは、50〜60cmになる巨大な茎を掘り起こします。重さが50〜100キロの球体です。
 オーブンで2〜3日蒸し上げ、固かった繊維をほぐします。これを細かく裁断し、糖蜜を絞っていきます。この糖蜜に加水して発酵させたのが、原液になります。1週間程度自然発酵するとだいたい7%程度のアルコールになります。これを2回蒸留して55%程度のアルコールにします。さらに、加水して40%に調整して出荷。

 アガベを収穫する農民は、ヒマドールと呼ぶそうです。

 もともと、「プルケ」という醸造酒があったのですが、征服したスペイン人が、自分たちの好みとして蒸留酒の「メスカル」を生み出します。山火事で燃えたブルーアガベの甘い香りに惹かれたとか。これが、酒造りの原動力?


 




  イチジク科の樹皮紙アマテ
世界中の樹皮紙は、カジノキ科が一般的ですが、メキシコの樹皮紙は、イチジク科の樹皮から作ります。 Ficus cotinifolia、Ficus padifolia、Ficus petiolarisが主要な樹種で、イチジク科とは別に、Morus celtidifolia、 Citrus anurantifolia、Heliocarpos Donnell-Smithii Roseも含まれています。
アステカ帝国時代に、通信や記録として広く使われていた記録媒体です。

まずは、古い枝を切り落とします。新しい枝は残します。夜間に、切り落とした古い枝を小川に沈めて、柔らかくします。そして皮を剥いで、内皮と外皮に分け、内皮の方を使っていました。古い時代は、これを叩いて伸ばしたものを利用したようですが、時代が進むにつれ、技術の改良されます。
今では、この樹皮を乾燥させ、石灰と木炭を入れてグツグツと弱火で煮続けます。半練り状態になると、板の上に載せ、石で叩き伸ばして樹木紙になるんです。

アステカ時代から続く製紙方法だったのですが、スペイン人にぶっ壊されてしまったのです。ただし、辺鄙な山岳地までは影響力が無く、現在まで技術が途絶えることはなかったのです。