愛媛県    
  県木:アカマツ(Pinus densiflora)
    クロマツ(Pinus thunbergii)
    ゴヨウマツ(Pinus parviflora)
県花:ミカン
Citrus unshiu
 
杜(森)の話    
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瀬戸内の島々のミカンを守るスギ
ここでのスギは、製材のためのスギではなく、単に風を防ぐだけ。だから、ぎっしりと植えられ刈り込まれ、ミカン畑を守っています。このミカン畑が、段々畑になっているのは、かつては、サツマイモを栽培していた名残だそうです。


 
ナツメで子孫繁栄
お茶の世界で使われる棗(ナツメ:Zizyphus jujuba)は、この実から夏に芽が出るので、ナツメ。単純すぎる命名です。

多産を願う木として山間部の農家には、一株づつ植えられていたそうです。ナツメの実には、鉄分やカリウム、マグネシウムなどのミネラルたっぷり、葉酸やナイアシンといったビタミンB群、食物繊維、サポニンが豊富で、貧血の多い女性には、貴重な木の実でした。そういう意味でも、山間部で重宝されたのだということです。

もともとは、中国の風習で、朝鮮半島を経て、日本に伝わった風習のようです。もしかしたら、ダイレクトに中国から来たかもしれません。ナツメの実を新婦に投げる風習は朝鮮半島にはあるのですが、愛媛の山間部にはありませんので。


やまじ風と農業
伊予三島や川之江市に吹く風
山から吹く風は、普通の農業が出来ず、耐風性作物として、ヤマイモ、サトイモ、サツマイモ、ショウガという根菜類の栽培が盛んなんです。水稲栽培は、風で倒れてしまいますので。

山からの風で、山風、それがなまって、やまじ風になったそうです。

この地域の住居の屋根には、重し石や漆喰で屋根を固めるなどの風邪対策がなされていました。今でもコンクリートで固めるのだそうです。


愛媛(多分、四国)の山菜の食べ方
@ゼンマイ
 ゼンマイのメスの幼芽を、さっと熱湯で茹でで水に晒す。少し柔らかくなるまで揉みほぐす。小さな球にして、3,4日かけて乾燥さす。そして保存

使うときに、水につけて灰汁を捨ててから水切り、干し椎茸の戻し汁、醤油、酒、ウコンの粉、調味料をつけて、油で炒める。

Aイタドリ
 イタドリの生皮を向いて水につけて晒す。水を切って油で炒める。塩漬けする。そして保存。使うときは、塩抜きしたあと、サトイモや季節の野菜などと炊き合わせる。

Bアオキ
 アオキの若葉をだし、醤油、砂糖で煮詰める。

Cユキノシタ
 薄い衣をつけて天ぷら


ウマングソ茶(馬のくそ茶)
石鎚に伝わる発酵茶
一般的には、石鎚黒茶と呼ばれ、昔は、瀬戸内海の島々で飲まれていたそうです。瀬戸内海の島々の塩気のある井戸水に相性が良かったとか

7月に成葉を刈り取って、倉庫の中に筵(むしろ)をひいて、その上に蒸した葉を置いて、筵をかぶせて発酵させます。温度が上がりすぎるとひっくり返して、 1週間。このあと、大きな桶にぎっしり詰めて、漬け物石でしっかり押しつけます。時々、水を足して、乳酸のにおいがするまで発酵させます。

最初の発酵は、好気性発酵、二度目は嫌気性発酵

8月に太陽光線に晒して、真っ黒に

今は、ほとんど作られていないそうです。


女性は夜なべで太布を織る
愛媛の昔の風習
太布とは、イランが発祥というシルクロードを伝ってきた技術。木の繊維を利用するというのは古いスタイル

スギを植林する際、一緒に楮(こうぞ)を植えたりします。楮といえば、和紙の原料になります。

それ以外の使われ方として山で生活する人の衣類になったんです。楮を大きな釜で蒸して、表皮を剥いで水に晒します。細かく裂いて、叩いて繊維にわけます。


目印の木
肱川(ひじがわ)の五郎地区、若宮地区では、川沿いに畑を作って生計を立てていました。でも、ひとたび洪水が起これば、自分の畑も、隣の畑も訳分からない状態に。
岩だって流されるのですから、洪水でも大丈夫な境界が必要になるんです。他人の土地まで手を伸ばそうと思った人間がいかに多かったから?なのでしょうかね。

で、畑と畑の境界に「境木(さかいぎ)」という低木で表示しています。マサキ、ヤナギ、イヌマキ、ボケが代表的な樹種で、湿地に強い、常緑、大きくならないということでマサキが重宝されています。

洪水後の後かたづけは、村人総出で行っていたそうで、その名残として「いもたき」が残っていて、この芋は、洪水後の湿地でも育つ里芋を使っています。


山姥に感謝して
愛媛県内には、いろいろな山姥伝説があります。山姥は、基本、山の神で里に恵みをもたらす存在ではあるのですが。

北条市高山では、婚礼等の行事があると、食器や膳などを借りにいっていたそうです。ただし、きれいにお皿などを洗って返すと怒られたそうです。(姥捨て山の生き残り?)

上浮穴郡面河村大谷の近くの山に山女郎は、美人で媚びるように微笑んでくるそうです。それに応じて微笑むと死んでしまうだそうです。

上浮穴郡小田町臼杵では、正月用に餅を搗くと、山から汚い婆がやってきて餅をねだるため、餅つきの日を変えて、婆に餅を当てなくしたら、村が不幸の連続に襲われるようになったとの言い伝えがあります。

野村町には、猟師は、山に狩猟に行く前に、山姥を奉っているお堂に寄ってから、山に入るのだそうです。

宇和地方では、子供をさらっていくというので、夜、外に出たがる子供に、山姥にさらわれずといって、子供を脅していたそうです。


ヤナギin愛媛
薬効成分があり、細工物にも使われる柳ですが、場所によっていろいろな伝承があります。

◎屋敷内に柳の木を、植えるのは縁起が悪いと忌み嫌っている。(場所不明)


木蝋で出来た町