モントリオールプロセスに沿ったカナダのC&Iの初期のものです。この後、CSAに繋がっていきます。(1997年データ)
カナダ
持続可能な森林経営の定義
− 基準と指標へのアプローチ −
目 次
生態的な基準と指標
1.生物的多様性の保全 --------------------------------------- 1
1.1 生態系の多様性 ------------------------------------- 1
1.2 種の多様性 ----------------------------------------- 1
1.3 遺伝的多様性 --------------------------------------- 2
2.森林生態系の状態と生産力の維持および強化 ----------------- 2
2.1 攪乱とストレスの影響範囲 --------------------------- 2
2.2 生態系の回復力 ------------------------------------- 3
2.3 現存バイオマス ------------------------------------- 3
3.土壌および水資源の保全 ----------------------------------- 3
3.1 物理的環境要因 ------------------------------------- 3
3.2 政策と保護林に関する要因 --------------------------- 4
4.森林生態系の地球的環境循環への寄与 ----------------------- 4
4.1 地球的炭素収支への寄与 ----------------------------- 5
4.2 林地の転用 ----------------------------------------- 5
4.3 森林部門でのCO2 の保全 ---------------------------- 6
4.4 林業部門の政策要因 --------------------------------- 6
4.5 水文的サイクルへの寄与 ----------------------------- 6
社会経済的な基準と指標
5.社会へのさまざまな便益 ----------------------------------- 7
5.1 生産能力 ------------------------------------------- 7
5.2 関連工業(木材/非木材)の資源競争 ----------------- 7
5.3 木材/非木材部門の国民経済への寄与 ----------------- 8
5.4 非木材価値(売買選択価値を含む)-------------------- 8
6.持続可能な開発のために受け入れる社会的責任 --------------- 9
6.1 先住民の権利 --------------------------------------- 9
6.2 持続可能な森林経営への先住民集落の参加 ------------- 10
6.3 林内集落の持続性 ----------------------------------- 10
6.4 公正にして効果的な意志決定 ------------------------- 10
6.5 事情に良く通じた意志決定 --------------------------- 10
カ ナ ダ
持 続 可 能 な 森 林 経 営 の 定 義
− 基準と指標へのアプローチ −
生態的な基準と指標
1.生物多様性の保全
生物多様性は,生態系全体から遺伝的基礎となる化学物質の構造に至るまで,さまざまなレベルの生物的組織を包み込んだ概念である。自然界
の遺伝的,生態的多様性を維持していくことは、種が変化に適応し進化していく能力を維持していく上で重要な鍵となる。生態系の自然分布域を維持し,さらに
その生態系の構成要素が外部からの力や変化に対処する能力を維持することにより、種の多様性を維持するために必要な平衡状態が保たれる。それゆえ、多様性
は生態系パターンを生み出しそれを維持していくことと不可分の関係にある。インパクトは危急性評価によって査定されるが、そうした危急性によって時には森
林の経営方法の変更を迫られたり,さらには生物多様性の復元のため行動を起こすことを指示される場合すらあり得る。
1.1 生態系の多様性
生態系の多様性とは、個体群や生態系がさまざまであることである。地上の生態系の多様さや質を維持することは種の保存にとって必要である。種にとって量的に十分な自然の生息地が確保されないと、生存が危うくなる。
1.1.1 過去の状態,および全森林面積と比較して,森林タイプ別面積と割合
1.1.2 森林タイプ別、齢級別の森林面積と割合(2.2.1 参照)
1.1.3 保護地域における森林タイプごとの面積,割合,代表的特徴
1.1.4 森林生態系の構成要素の分断度合と連続性のレベル
1.2 種の多様性
生物的減少のもっとも容易に認識できる形は,種の絶滅である。人為的な要因によって、種の絶滅する速度を遅らせることが生物多様性保全の重要
な目的である。同様に種の個体数レベルの変化も,生態系の無傷な状態にとって変化の初期警告となることがる。
1.2.1 森林に依存する既知の種の全数に対して、絶滅、脅威、危急,希少および傷つきやすいと分類された森林に依存する既知の種の総数
1.2.2 選択された種および種群の,期間を通じての個体数レベルと変化
1.2.3 過去の分布域に比べ僅かな部分にしか分布していない,森林に依存する既知の種の数
1.3 遺伝的多様性
遺伝的多様性,言い換えればある種内での遺伝子の多様性は、全ての段階における生物多様性の究極的な源であって,進化の力が作用する材料である。その多様性が失われると、個体群の適応性に悪影響を及ぼし、適応への変化が妨げられる。
1.3.1 商業的および危急的な森林植物種について、本来の場所/それ以外の場所での保全策の実施
2.森林生態系の状態と生産力の維持および強化
・森林生態系における健全さ、活力および生物的生産速度
生態系の持続可能な進展は、長期間に及ぶ正常な機能発揮に依存している。生きている生態系における正常な機能発揮とは、その構成要素の健全さ、活力および生産力がある程度の水準であることを意味する。
森林の状態とは、森林生態系においてストレスからの相対的解放(健全さ)の尺度であり,また物理的/生物的エネルギー(活力)の相対的水準で
ある。それらが総合されて、生態系の機能発揮の尺度となる。森林生産力は、動植物による生産速度に関係しており、それは養分、水分および太陽エネルギーを
吸収し、生態系内で変換される度合いに依存している。森林生態系内部の持続可能な生産力は,生態系の構成要素と,その個体群の撹乱から回復したり適応した
りする能力に依っている。
2.1 攪乱とストレス(生物あるいは非生物的)の影響範囲
この要因は、大気汚染物質の濃度,および主な生物的あるいは非生物的ストレスの頻度と強度に起因している。さらに攪乱やストレスの特殊性に依
存して,動的な複合的要因があり、それが長期間にわたり森林の状態にマイナスやプラスの影響を及ぼすことになる。
2.1.1 虫害の面積と被害の程度
2.1.2 病害の面積と被害の程度
2.1.3 火災による被害の面積と程度
2.1.4 汚染物質の堆積速度
2.1.5 森林地域におけるオゾン濃度
2.1.6 落葉による樹冠透過率の階層区分
2.1.7 森林の状態にとって望ましくない外来植物種の発生面積と程度
2.1.8 積算温度で示した気候の変化
2.2 生態系の回復力
生態系の回復力は、生産力と個体群間の関係を等しく維持しつつ,生態系を持続し変化や攪乱を吸収する能力である。重要なのは、個体群が適切な
再生力とバランスの取れた森林タイプおよび齢級の森林の分布に恵まれた場合に、非常に低いレベルから回復する潜在力をもっているかどうかという点である。
2.2.1 森林タイプ別,および齢級別森林の面積と割合(1.1.2 参照)
2.2.2 天然更新および人工更新に成功した面積の割合
2.3 現存バイオマス(生物相)
現存バイオマスは、森林生態系の状態についての総合的尺度である。これは、全ての種やタイプのバイオマス生産量という観点からみた森林の状態に関係し,また希少な種を支える生態系の包容力を含んでいる。
2.3.1 森林タイプ別、齢級別の年当たり平均成長量
2.3.2 選定された指標種(植生、鳥類、ほ乳動物、魚類)の中での出現頻度
3.土壌および水資源の保全
・土壌および水の質的、量的保全
土壌と水は森林生態系にとって基本的な構成要素である。土壌と水の保全の基準は、森林生態系の内部,およびそこから流出する土壌および水の量
と質を保全する尺度に関係している。土壌の保全に最も重要な点は、森林のために生きた基質を維持することにあるが、水の保全の場合は、人間や野生鳥獣の飲
料水を供給すること,そして植物や動物にとって適切な水分環境を提供することにある。
3.1 物理的環境要因
物理的環境要因には、土壌と水の両資源が含まれる。土壌環境要因は,森林成長を持続する物理的能力が変化した土壌のある生産林の面積に関係がある。提起されてい
る尺度には、土地利用の変化によって森林生産が不可能になった土壌の面積,あるいは生産活動によって有機物のレベルが低下し、土壌が堅密になる
かまたは侵食によって土壌が流亡する面積が含まれている。これらは、森林生産を支える土壌の能力を低下させる。水に関する要因には、物理的および化学的性
質,例えば流量のパターン、水温、通気、流砂,および水生動植物の生存を可能にする化学物質,などがある。水環境の変化は、水生生物の生存に悪影響を及ぼ
しかねない。
3.1.1 土壌にとって重大な堅密化、移動、侵食、凍結、有機物の損失等の見られる伐採地の割合
3.1.2 例えば都市化など,森林外の土地利用に転換された森林の面積(4.2.1参照)
3.1.3 水の化学的性質、汚濁等からみた水質
3.1.4 森林集水域からの水流の傾向と,何らかの事象の起こる時期
3.1.5 水生動物相の分布と豊かさに関する変化
3.2 政策と保護林に関する要因
陸上生態系および水生生態系の保全を確実なものとするために,特別な管理方式の実践や、傷つきやすい場所を保護する等適切な政策を講ずること
が重要である。この傷つきやすい場所の条件には、水辺域、湿地、痩悪地、急傾斜地および岩場の土壌の浅い箇所等が含まれる。水系については、流路や流域や
水辺地の管理を目指した政策が水流パターン、水位、水質の保全に貢献するであろう。
3.2.1 土壌と水の保全を第一義として管理される森林の割合
3.2.2 道路および橋の建設の指針が適用される森林面積の割合
3.2.3 保護地域における森林タイプごとの面積,割合,代表的特徴(1.1.3 参照)
4.森林生態系の地球的環境循環への寄与
・地球的生態系の機能に及ぼす森林並びに森林活動のインパクト
地球的環境循環は、地球上の限りある水、炭素、窒素など生命を持続する諸要素の循環を担っている自律的プロセスの複合体である。世界の森林は、こうした地球的循環に脅威を与えつつ,一方でかなりの寄与をしている。
地球的環境循環は、化石燃料の燃焼およびそれに伴う有害物質の放出によって悪影響を受けている。森林は炭素の吸収や貯留によって地球的循環に
大きな貢献をしている。森林生態系の特徴である長寿命であること,生産物である立木が大面積を覆っていること,そして分解速度が遅いことにより、森林は長
期的にみて炭素吸収に極めて適しているということができる。逆に、森林をバイオマス水準の低い,回転率の早い短寿命な作物への転換,あるいは森林植生の永
久的な除去は、炭素を吸収し貯留する林地の能力を劣化させる。こうした理由から、森林経営によって森林生態系の持続的な利用と若返りを促進すべきであり、
また森林を火災、虫害および土地利用の転換等によって広範囲に及ぶ破壊から保護する必要がある。更に、森林経営によって長期的炭素貯留源として役立つよう
な林産物の製造を推進し、かつそれらの生産に当たって化石燃料の需要を少なくするようにすべきである。
4.1 地球的炭素収支への寄与
地球的環境循環は、CO2 の大気への放出を加速させることによって悪影響を受ける。炭素の固定と天然林および林産物からの炭素の放出の収支を推定することは、大気中の炭素の増加についてのその国の貢献の指標となる。
4.1.1 樹木のバイオマス量(生物現存量)
4.1.2 樹木以外の植生の推定バイオマス量
4.1.3 林冠被度の割合
4.1.4 一般的な森林タイプ別のバイオマス量の割合
4.1.5 土壌炭素貯留量
4.1.6 土壌中の貯留炭素の分解速度
4.1.7 森林減少面積
4.1.8 林産物の寿命
4.1.9 森林部門でのCO2 の放出量
4.2 林地の転用
炭素収支は林地の転用に鋭敏であるが、それは通常、交代する生態系は林地よりも回転率が早く、炭素貯留容量が低いからである。回復の見込みのない森林伐採は、特に炭素収支に長期間にわたる悪影響を及ぼす。
4.2.1 永久的に非森林の土地利用に転換される森林の面積(例えば都市化など)
(3.1.2参照)
4.2.2 半永久的又は一時的な森林生態系の面積の増減(例えば草生地、農地)
4.3 森林部門でのCO2の保全
森林部門のCO2保全は、原材料を製品に作り換えるため工業が化石燃料に相対的にどの程度依存しているかを推定するのに用いられる。
4.3.1 化石燃料の放出
4.3.2 化石炭素(石炭)製品の放出
4.3.3 森林部門全体のエネルギー需要量に対する,再生可能な資源からのエネルギー使用の割合
4.4 林業部門の政策要因
地球的環境循環を持続するという政府の公約は、森林部門の政策の評価を通じて計ることができる。
4.4.1 カナダで製造されて利用される林産物のリサイクル率
4.4.2 気候変動の会議への参加
4.4.3 生物エネルギー利用への経済的誘導策
4.4.4 森林資源調査の存在
4.4.5 林地管理に関する法律および規制の存在
4.5 水文的サイクルへの寄与
水文的循環は、地球的環境循環にとって必須の構成要素である。森林景観内に見られる水域の変化は、森林作業が水文的循環に及ぼす可能性のあるインパクトの概観的な指標となる。
4.5.1 森林域内の水域
社会経済的な基準と指標
5.社会へのさまざまな便益
・現在および将来の世代のために、森林から得られる便益のフローを持続させること
森林は社会に対し、商業的木材製品、商業的および非市場的財貨・サービス、環境的および選択的価値等の混じり合った便益を供与する。持続可能な経営においては、これらの財貨とサービスを長期にわたって永続して供与する必要がある。
林産業は、カナダで最大の外貨を稼いでいる部門である。林産業は311,000人の直接雇用を生み出し、さらに同程度の間接雇用を生んでいる
(1993年)
。これらの仕事の多くは、これに替わる仕事の限定されるカナダの農村全域に及んでいる。 多くの農村集落はその経済的繁栄を、全面的あるいはかなりの程度
に森林部門に依存している。
引き出されている大きな経済的便益に加えて、カナダの森林は観光、野生生物、森林レクリエーション利用、風致的および原生自然的価値などを含
めて,さまざまな便益を与え、広範囲の他の活動を支えている。これらの活動は、常に貨幣価値で測れるわけではないが、カナダ国民によって高く評価されてお
り、カナダ社会に大きな便益を与えている。
5.1 生産能力
便益は満足すべきフローをいまだ維持してはいるものの,資源の保全をより確実に図っていくためには,広範囲の財貨・サービスを供与するために
採取利用が資源基盤の長期的生産能力を超えることのないようにする努力が必要である。過度の採取利用は持続可能な採取ではなく、持続的森林開発の理念と一
致しない。
5.1.1 持続可能であると決定された収穫量に対する林産物の年収穫量
5.1.2 木材生産に利用できる土地面積の分布および変化
5.1.3 経済的重要性から選定された動物種の個体数
5.1.4 管理および開発の費用
5.1.5 経済的重要性から選定された野生鳥獣種の生息地の利用度
5.2 関連産業(木材/非木材)の資源競争
持続可能な開発の理念では、環境と経済が直接結びついていると認識している。カナダ国民への経済的便益のフローが永続するようにするために
は、森林部門内で公正で競争的な投資の風潮が保持されることが是非必要である。もしカナダ国民の雇用や所得を造出する能力を保持するために必要な投資をカ
ナダのさまざまな森林関連産業が引き出そうとするならば、競争力のある利益率が必要不可欠である。
5.2.1 純利益
5.2.2 地球的市場占有率の動向
5.2.3 林産物および加工技術に関する研究開発費の動向
5.3 木材/非木材部門の国民経済への寄与
この基準についてもうひとつの重要なことは、富の分配という問題に対する検討である。持続可能な開発は、単に経済的発展を最大にするということ以上の意味が含まれている。また、開発により得られた富を社会に分配する方法についても考慮する必
要がある。森林を利用して得られる富は、市場経済(国内総生産や雇用のような経済的指標によって測定される)と自給経済(燃材の採取と利用、建築材、食肉、魚および毛皮製品、薬草等の物品による所得を含めて)を通じてカナダ国民へ流れる。
5.3.1 森林経済の木材および非木材部門の国内総生産(GDP)への寄与
5.3.2 すべての森林関連部門における総雇用量
5.3.3 自給目的の森林利用を含めた,非市場的財貨・サービスのための森林利用
5.3.4 非市場的財貨・サービスの経済的価値
5.4 非木材価値(売買選択価値を含む)
レクリエーション価値、観光価値、売買選択価値を含めて、非常にさまざまな非木材価値は森林に深く関係している。カナダの社会はより豊かにな
りカナダの経済はより都市工業依存,サービス指向型経済に発展するとみられるので、非木材価値の重要性は一層高まるものと考えられる。
5.4.1 レクリエーション機会の利用の程度
5.4.2 非木材利用に関係する活動に対する、個人の総出費
5.4.3 森林レクリエーションを指向する組織やクラブの会員数と総支出
5.4.4 保護の程度で区分した保護林の面積と割合
6.持続可能な開発のために受け入れる社会的責任
・公正、公平で効果的な資源管理の選択
持続可能な開発の概念は、生物的、生態的さらには経済的基準をも超越している。
それは究極的には人間に関するものである。それは社会の価値,すなわち、個人としておよび集団としての社会の構成員の生活の質に関するものであ
り,また人と資源との関わり方を,現在と将来の世代にとって最大の利益になるように管理するために,社会として我々自身を組織化することの有効性に関する
ものである。このように、この基準は社会的価値を正確に反映するような方法で資源を管理する制度の有効性の問題といえる。またこの基準は、社会価値の変化
や,特殊な文化的・社会経済的集団の特異なニーズにどのように対処するか,などに対して制度も変化するその応答性の問題でもある。そしてこの基準は,希少
な資源の配分がどこまで公正、公平でバランスが取れていると考えられるかの程度に関する問題である。
6.1 先住民の権利
既存の先住民の権利は、カナダ憲法で認められ保証されている。正当に確立された先住民の権利が尊重されるようにするため、持続可能な森林経営のなかで考慮すべきである。
カナダの各レベルの政府は、正当に確立された先住民の権利に照らして、それぞれの司法の下で法律や規制に従って,法的な義務がこれらに合致するよう努めている。
再生可能な資源との関連で論ずるなら、先住民の権利として一般に狩猟、漁獲、捕獲、採集等が含まれている。
森林の経営や計画の策定は、可能な限りそこに含まれる先住民集落(それ以外の関連するグループや集落も同様に)から情報を得て設計すべきである。最終的な計画には、正当に確立された先住民の権利に関して,考慮すべき選択枝と採るべき行動に反映させる必要がある。
6.1.1 正当に確立された先住民の権利に関して,森林の経営や計画の策定が法的義務を考慮し,満たしている程度
6.2 持続可能な森林経営への先住民族の参加
先住民社会と森林との文化的、精神的な結びつきが認識されている。先住民社会とすべての森林利害関係者との協力関係を強化することは、持続可
能な森林経営の目標を達成する上で重要である。政府は、持続可能な森林経営の目標を達成するために、それぞれの管轄における政策と法規内で先住民社会と協
力する。
6.2.1 森林に関わる経済的機会への先住民の参加の程度
6.2.2 森林経営計画の設定に当たって、固有の、または重要な先住民の社会的、文化的ないし精神的な場所の保護を考慮する範囲
6.2.3 集落全体として,経済ベースおよびさまざまな森林利用形態において,林業が重要な部分を占める先住民集落の数
6.2.4 自給目的に利用される森林の面積
6.2.5 総合的経営計画の下でのインディアン保護林の面積
6.3 林内集落の持続性
持続性は様々なスケールでみることができる。持続可能な開発を判定するひとつの重要なレベルは、集落レベルである。資源の非持続的な利用は、
集落居住者の間に高い社会費用の集中をもたらす恐れがある。集落から排除された意思決定プロセス,あるいは集落の不安定に伴う社会費用を考慮しないといっ
た意思決定プロセスは、持続可能な開発には寄与しない。
6.3.1 経済的ベースにおいて、林業が重要な部分を占める集落の数
6.3.2 地域産業ベースで多様性の指数
6.3.3 集落レベルでの森林利用の多様性
6.3.4 財務管理や共同経営に責任を持つ集落の数
6.4 公正にして効果的な意志決定
意思決定は、文化的な相違、経済的利益の対立およびリスクへのさらされ方の相違等によって複雑となることが多い。意思決定プロセスは、森林資
源を管理し配分するために設立された各種機関内にはめ込まれている。これらの機関が決定に際して最大限の社会価値を有効に取り入れるその程度、また長期間
の価値の変化に対する機関の応答性の良さが、持続可能な開発に向けての進捗状況を監視する場合の決定的な要因となる。
6.4.1 意思決定プロセスの設計への、大衆参加の程度
6.4.2 意志決定プロセスへの大衆参加の程度
6.4.3 持続可能な開発に向けて,決定の実施および進捗状況の監視への大衆の参加の程度
6.5 事情に良く通じた意志決定
持続可能な発展に対する社会の一員としての責任は、生態系や環境と経済との関係について持っている理解をさらに深めるという形で果たされる。
個人レベルでは,資源利用や森林の価値に関する他者の意見を理解する努力をすると同時に,個人がこの問題について十分に知識を得るように努力することが大
切である。社会の構成員である個々人は、問題を理解し、自分の立場を表明し、又他人の立場を理解するという義務と責任がある。
6.5.1 多面的資源調査によってカバーされる面積の割合
6.5.2 森林を対象とした研究、開発および情報への投資
6.5.3 大衆への林業教育に対する効果的支出の総額
6.5.4 大衆参加を含んだ経営計画/プログラム/指針がすべてそろっている森林面積の割合
6.5.5 国際的林業への支出
6.5.6 相互学習の機構とプロセス
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