ヘルシンキプロセス直後に作成されたものです。
この後、さらに発展してFFCSへと発展していきます。(1997年データ)
フィンランドにおける持続可能な森林経営の基準と指標の履行
目 次
1.全国実施の目的 ---------------------------------------------------
1
2.全国実施の経緯 ---------------------------------------------------
1
3.作成された基準 ---------------------------------------------------
1
4.作成された指標 ---------------------------------------------------
1
5.利用できるデ−タ--------------------------------------------------
2
6.国家の基準と指標 -------------------------------------------------
2
7.将来の計画 -------------------------------------------------------
2
8.全国実施に関する結論 ---------------------------------------------
3
1.全国実施の目的
戦略的計画の策定と持続可能な森林経営に認証にあたって適用できうる国家、地域、地方の各レベルの基準と指標を作成することを目的とする。
2.全国実施の経緯
国家プロジェクトは1995年4月に農林省によって始められた。作業は、多くの部門にまたがる諮問委員会の指揮にある。実際の作業は専門家に
よる2つの公開作業委員会によって実行された。研究機関、省庁、林産業、私有林所有者、大学及びNGOの代表者が、作業委員会への参画のために招請され
た。各代表者が積極的参加し、自由かつ率直な意見を述べるという方法で行われた。
諮問委員会は国家レベルの基準と指標のリストを採択している。これは1995年12月1日に行われた更なる作業の基礎として役立った。このプロジェクトは、1995年12月20日にその中間報告書を提出しており、なおその作業は継続中である。
3.作成された基準
ヨ−ロッパの森林保護に関するヘルシンキ閣僚会議のフォロ−アップを通じて6つの基準が作成され、採択された。全ヨ−ロッパ基準のNo.6だけが”他の社会経済的、文化的機能と条件の維持”含むように僅かに修正された。
4.作成された指標
全ヨ−ロッパ向けの量的指標をフィンランドの条件に適合するように修正した。また、特に、生物的多様性と社会経済に関する指標が補足された。
国家レベルの記述指標を明らかにするためにヨ−ロッパ向けの記述指標(法/規定;制度、財政手段及び情報手段)を用いた。各指標は、6つの基準のうちの1
つに由来する概念分野に従って分類される。
作業委員会は、全ヨ−ロッパの基準の枠組みに基づいて、約250の国家指標を提案した。更なる作業のために諮問委員会によって、これらのうち約160の量的指標及び記述指標が選定された。
フィンランドの指標は、森林資源、炭素バランス、森林生態系、健全度と活力、木材・非木材生産、生産林内における生物的多様性、保安林、絶滅危惧種、土壌と水に対する森林の保護的機能及び森林の社会経済的、文化的機能をカバーしている。
5.利用できるデ−タ
1921年以来、全国森林資源調査をおこなっていることから、数多くの現地調査による森林の資源状態や健全度に関する情報を得ている。第9回
全国森林資源調査(1996年開始)では、生物多様性の調査測定に焦点を合わせることになっている。すべての所有形態の森林について、木材生産に加えて木
材以外の森林の価値を中心に据えた森林計画を策定しつつある。この計画の策定によって、作業プロセスの中でより多くの地域レベルの情報が得られるであろ
う。
すべての方法を継続して開発し、技術的に確かで、経済的に実行可能な研究結果が適用できればいつでも、不足している情報を加えていく。
国家の基準と指標に関するレポ−トは現在作成中であり、1996年6月には印刷される予定である。このレポ−トの取纏めの際に、利用できる情報の程度、不足情報の抽出、その他の情報の例等が記載されることになるであろう。
6.国家の基準と指標
農林省は環境や自然保護、林業に関する問題を扱う主たる機関やNGOsの協力を得て林業における環境計画を策定した。1994年7月、農林省
と環境省は、近い将来フィンランドで実施される持続可能な森林経営のための戦略となるであろう計画を採択した。この計画は、現在行われている森林に関する
法規の改正の基礎となっている。
森林に関する法委員会は、1995年11月に森林に関する2つの新しい法律を提案した。この提案では、木材・非木材生産及び森林サ−ビスに加
えて、生産林における生物多様性の維持、増進が大きく取り上げられている。育林に関して提案された法律では、林業センタ−(地域の私有林行政主体)が地域
林業計画を策定することになっている。その際、予算が付けばこれらの目標に基づく計画に持続可能な森林経営の基準を適用する。この計画は、リオとヘルシン
キでの国家レベルの決定を履行するための法的手段の根拠となり、作成され、適用されつつある基準と指標を実行レベルである地域の規模に援用することにもな
るであろう。
1996年2月に採択された、林業センタ−及び林業開発センタ−に関する法律では、持続可能な森林経営と生物多様性の保全が重要な課題であ
る。1994年の初めに採択された林野・公園局法には生物多様性の保全に関する規定が、既に、国有林に関係する生物多様性の維持増進のための条項の中に含
まれていた。
7.将来の計画
次の段階は、国家レベルの基準と指標を地域や地方レベルへ援用することであろう。この基準と指標はまた、やがて策定される森林・自然保全法や林業環境計画の履行とフォローアップの際にも修正されるであろう。
異なる利害関係者による林業指標に関連した設定値の問題は、基準と指標に関する全国実施の後の段階で取り上げられるであろう。また、指標の設定値や標準値に関する制限は、適切な量の情報が政策決定に利用可能になったときに、森林経営の評価ために設定されるであろう。
1995年10月から南部フィンランドの面積数十万haに及ぶPirkanmaa地域で、1年の公開研究プロジェクトが始まっている。このプ
ロジェクトは、持続可能な林業の地域開発戦略の策定に当たっての原則を提起することを目指している。この戦略には、木材・非木材生産、生物多様性の維持及
びその他森林に関係する社会経済的活動が含まれている。このプロジェクトはまた、地域レベルでの林業の持続可能性を査定する際に用いることのできる社会経
済的、生態的指標を作成する予定である。さらに、地域レベルの認証協定に必要な森林経営の持続可能性の査定に用いられるかもしれない社会経済的、生態的基
準と指標の様式に焦点をあてることにもなるであろう。Pirkanmaaパイロットプロジェクトの結果は、国家レベルの基準と指標の更新に対する示唆を
与えてくれるであろう。このプロジェクトは、やがて施行される森林に関する法規に従った地域林業計画の作成を行う林業センタ−のための共通の戦略の基礎も与えることにもなる。
8.全国実施に関する結論
持続可能な森林経営の現実的概念を適用するためのフィンランドの基準と指標に関する作業は、国内、国際の両プロセスの双方に密接に関係があ
る。であるので、概念は実際の育林や収穫レベルに適用されていくことになるであろう。フィンランドでの全国実施は、独創的なプロセスをなしており、進行中
の森林に関係する諸問題の議論での様々な参加者と様々な事象を包括する役目を果たしている。このプロセスは、林業において持続可能性が意味するところを
フィンランド社会での共通の認識に高めるに至った。
この実施には、UNCEDによる全地球レベルやヘルシンキプロセスによるヨ−ロッパレベルの過程へ、と、国家レベル、Pirkanmaaをは
じめとする地域レベルの過程への大きく2つの方向がある。フィンランドの国家レベルでの作業は、同時に、特に作業段階での結果を適用する際の持続可能な林
業の概念に関する国際的関心にも対応可能である。
フ ィ ン ラ ン ド の
持 続 可 能 な 森 林 経 営 の 基 準 と 指 標
基準 1
森林資源の維持、増進及び地球規模の炭素循環への寄与
--------------- 4
森林資源 ---------------------------------------------------------
4
炭素バランス -----------------------------------------------------
4
基準 2
森林生態系の健全度とその活力の維持 -------------------------------
6
基準 3
森林(木材及び非木材)の生産機能の維持・増進
--------------------- 7
木材生産 ---------------------------------------------------------
7
非木材産物 -------------------------------------------------------
7
基準 4
森林生態系における生物多様性の維持、保全及び適切な増進
----------- 9
生産林における生物的多様性 ---------------------------------------
9
保護林 ----------------------------------------------------------- 11
絶滅危惧種 ------------------------------------------------------- 11
基準 5
森林経営における保護機能の維持と適切な増進(特に水と土壌)--------
13
基準 6
その他の社会経済的、文化的機能と諸条件の維持
--------------------- 14
調査研究と教育 --------------------------------------------------- 14
レクリエ−ションサ−ビス ----------------------------------------- 15
市民参加 --------------------------------------------------------- 16
文化的価値 ------------------------------------------------------- 16
基準1
森林資源の維持、増進及び地球規模の炭素循環への寄与
森林資源
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・森林資源の維持
・蓄積の適切な管理の確保
・森林に関係する権利(所有権、伐出権等)及び予想される紛争を解決する手段を明らかにすること
制度的枠組みの有無とその実効性:
・森林資源の維持と適切な増進
・森林経営計画と土地利用計画の高度化
財政的手段/経済政策の枠組みの有無とその実効性:
・森林資源の維持と適切な増進に関する指導(公的貸出、税制)
・森林資源に関係する土地利用計画策定への指導(農地の造林、保護区の設定など)
・望ましい齢級配置への指導・促進
政策の枠組みを満たす情報手段の有無と実効性実効性:
・森林資源の評価の実行(デ−タの収集、内容及び透明性)
・指針、教育、普及による土地利用計画と森林経営の高度化
量的指標:
1.1 森林及びその他の森林の面積、国土面積に占める割合及び植生ごとの面積推移
(地位、所有構造、齢級構成及び更新起源による分類)
1.2 次の事項の推移:
a.蓄積の総量
b.森林及びその他の森林の平均蓄積(可能ならば地位ごとに分類)
c.齢級構成と齢級配置
炭素バランス
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・炭素バランスの規制を目指した国際条約の遂行
制度的枠組みの有無と実効性:
・エネルギ−及び建築材への利用促進制度の策定実行
財政的手段/経済政策枠組みの有無と実効性:
・エネルギ−及び建築材への利用促進
政策枠組みを満たす情報手段の有無と実効性:
・木材製品のライフサイクルに関する調査研究
量的指標:
1.3 炭素バランス:立木及び森林土壌の炭素総貯留量
1.4 木材及び木材起源のエネルギーの利用:木材エネルギ−と化石燃料について、量の変化と比率
基準2
森林生態系の健全度とその活力の維持
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・大気汚染の規制を目指した国際条約の実施(長期の国境を越える大気汚染に関する
協定等)
制度的枠組みの有無と実効性:
・森林の健全度と活力度の監視制度
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・森林の健全度の監視の推進
政策枠組みを実施する情報手段の有無と実効性:
・森林の健全度に関する調査研究
量的指標:
2.1 過去5年間における大気汚染物質の全降下量とその推移(固定標準地での調査)
2.2 UN/ECE及びEUの落葉区分を用いた甚だしい落葉のある森林の変化(2,3,4級)
2.3生物及び非生物起源の激害:
a.病虫害による激害(面積)
b.林野火災による年間焼失面積
c.暴風雨による年間の被害面積及び被害材積
d.雪害、冷害、霜害による激害(面積)
e.狩猟や動物、或いは放牧による激害地の更新面積の割合
2.4 ヨ−ロッパネットワ−ク或いは、それに相当する国家間ネットワ−クによるプ
ロットにおける養分バランスと酸性度(pH,CEC及びCECの飽和レベル)の変化
2.5 森林土壌の汚染度:北欧コケ類調査
2.6 森林土壌の酸性化に対する一般的許容度と感度:腐食層の有機物量
基準3
森林(木材及び非木材)の生産機能の維持・増進
木材生産
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・森林所有者が環境的に持続可能な森林経営方法を選択するような指導
・木材の保続生産の維持
制度的枠組みの有無と実効性:
・木材の保続生産の保証
財政的手段/経済政策枠組みの有無と範囲:
・地域レベル及び所有レベルの森林経営計画の策定の援助(公的資金の供与等)
政策的枠組みを満たすための情報手段:
・環境的に持続可能な育林及び収穫方法の開発
・信頼性のあるリアルタイム森林資源調査技術の開発
・森林経営計画策定手法の開発、森林計画策定面積の拡大
・森林経営認証制度の策定と促進
量的指標:
3.1 木材の伐採量と成長量とのバランス(全国及び地域での数値)
3.2 幾林・保育作業面積(ha/年、km/年):更新計画策定、天然更新、播種)、更新準備(刈り払い、地拵え、火入れによる地拵え)、植栽林分の保育及び枝打ち、除間伐、施肥、排水、溝堀及び追加排水、林道の開設
3.3 素材価格
非木材産物
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・非木材産物による経営に対する指導(トナカイ放牧、狩猟、道路以外の移動などに関する法律)
・森林の多目的利用の重要性への配慮
制度的枠組みの有無と実効性:
・異なる森林利用の統合、高度化
・非木材産物による経営の促進す
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・非木材産物に関する調査研究、開発及び持続的利用への援助
政策の枠組みを満たす情報手段の有無と実効性:
・森林経営計画への複合生産の導入
・持続可能な狩猟計画の策定
・トナカイ放牧地での飼料となる植物量の監視
・非木材製品の研究開発
・非木材製品に関する普及、教育
量的指標:
3.4 非木材産物の全量とその推移:
a.トナカイの放牧:トナカイの頭数とその肉生産
b.ノイチゴ:種別生産量、収穫量、市場供給量
c.キノコ:食用キノコの生産量、収穫量、市場供給量
d.地衣類:地衣類の量と輸出量
e.狩猟:狩猟鳥獣の頭数(少なくとも狩猟用の鳥とシカ)及びその推移、捕獲頭数
f.ピート:園芸用及び燃料用ピート、ピート生産に伴う湿地面積
3.5 非木材産物の市場価格
基準4
森林生態系における生物多様性の維持、保全及び適切な増進
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・森林生態系における生物多様性の維持・増進(育林に関する法律、自然保全法など)
・森林生態系内の生物多様性の保全に関する国際的取決めの実施(生物多様性に関する協定、ヨ−ロッパにおける森林保護に関する第2回閣僚会議の一般宣言と決議など)
制度的枠組みの有無と程度:
・森林生態系における生物多様性の維持や保全、増進
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・森林生態系における生物多様性維持のための補助
政策枠組みを満たすための情報手段の有無と実効性:
・森林生態系における生物多様性の維持と経済的影響の計測
・現状やその変化に関する国内外との比較に関する情報を得るための調査研究の実施
と適用
・森林生態系における生物多様性に関する新しい評価手法と林業の及ぼす環境影響評価手法の開発
・野生鳥獣の保全に関するUNの指示(79/409/EEC)及び天然生育地と野生動植物相の保全に関する指示(92/43)の補足の作成
生産林における生物的多様性
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・生産林の生物多様性の保全に対する手段の提供
制度的枠組みの有無と実効性:
・地域レベルの資源調査、経営、普及及び監督に対する準備
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・生産林の生物多様性に関する奨励策
・利用制限等による森林所有者への損失補償
政策枠組みを満たす情報手段の有無と程度:
・木材生産林の生物多様性を保全し、強化するための森林経営上の勧告の準備(天然更新に関する指針;混交林への誘導のための現存する稚幼樹の維持及び地掻きによる更新の利用等)
・重要となるビオトープの選定、管理のための森林所有者と林業労働者の研修
・生産林のための地理情報システムの開発(利用の分布と割合)
・伐採及び更新にともなう作業の森林生態系の管理上の質的評価
・森林生態系の経済的利用と保全の高度化に関しする調査研究
・森林所有者自らの意志によって行う保全のための調査の実施
量的指標:
4.1 森林の遺伝資源(遺伝子保存林等)保存のために管理している森林面積
4.2 外来種によって造成された森林の面積
4。3 樹種構成;(a)優勢樹種、(b)樹種の数とその割合
4.4 林分の齢級構成
4.5 年間の更新面積に占める天然更新の割合
4.6 枯死木の単位面積当り数と材積
4.7 倒木の単位面積当り数と材積
4.8 生産林における残存木;更新の際の残された針葉樹と広葉樹の材積
4.9 重要な樹種;用材と利用できるハコヤナギ科の樹木(アスペン)、直径10cm以上のヤナギ類及び貴重な広葉樹(タモ、ナラ、シナノキ
等)のhaあたりの全径級の本数4.10 天然のマツ類;以前の林木更新に由来する地形から割り出した最小年齢に基づいて定義されるマツ類の古木の本数と
割合
4.11 伐採や更新の際における貴重なビオトープの保護やその特徴
4.12 地拵えのための火入れの面積とその推移及び全更新面積に対する割合
4.13 火災生態学的機能:焼失面積とその林地に占める割合
4.14 高齢天然林;保全価値のある高齢天然林の面積と箇所数、林地に占める割合及び面積別推移
4.15 排水されていない湿地トウヒ林と湿地マツ林の面積とその推移
4.16 森林にすむ鳥類;特定期間中のペアの数と種数の変化(定住している種及びいわゆるタイガ種(渡り鳥))
4.17 生態系管理計画の対象範囲(生態系管理を特に重視した多目的森林経営計画)
4.18 景観生態学的森林計画の対象範囲
保護林
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・森林保護ための法的手段(保護の種類、期間を限定しての保護、利用制限など)
制度的枠組みの有無と程度:
・保護林管理の組織化
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・保護林の造成と管理への補助
政策枠組みを満たすための情報手段の有無と実効性:
・保全価値のある森林の地図化
量的指標:
4.19 保護林に含まれる森林(生産林、潅木林及び処分場用地)の箇所数と面積、および林業のための生産林の面積の推移と割合及び自然状態の程度
4.20 生態的分布基づく代表的な保安林;保護林における林地及び泥炭地の面積割合
4.21 地域的分布に基づく代表的な保安林;植生帯の異なる保安林の割合
4.22 厳正に保護される保護林;森林を伴なう厳正自然保護地域の数、森林の面積及び異なる植生帯における林地の割合
4.23 自然保護地域に関する法律によって保護される面積とその推移
4.24 森林保護制度及びその計画(箇所数及び面積)とその実施
4.25 特別森林保護制度によって保護される面積とその推移
絶滅危惧種
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・絶滅危惧種の保護(育林に関する法律、自然保全法等)
制度的枠組みの有無と実効性:
・絶滅危惧種の保護策を実施;責任ある組織及び保護活動の年数
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・絶滅危惧種の保護に対する補助(公的資金の供与、絶滅危惧種の殺傷に対する罰金等)
政策枠組みを満たす情報手段の有無と実効性:
・脊椎動物、無脊椎動物、維管束植物及び陰花植物の数などの絶滅危惧種に関するア
セスメントの実施
・絶滅危惧種についての保全計画の策定
・森林経営計画策定への絶滅危惧種に関する事項の導入
量的指標:
4.26 全樹種に占める絶滅危惧種の数とその割合の推移(IUCN、ヨ−ロッパ会議、野鳥の保全に関するEUの指示(79/EEC)及び自然生息地と野生動植物相の保全(92/43/EECなどの参考リストを使用)
基準5
森林経営における保護機能の維持と適切な増進(特に水と土壌)
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・保安林及び保護地域における森林経営方法の指導
・都市林における森林経営方法の指導
・生産林(緩衝地域等の)にある小規模な水系(泉、小川、池等)の保護
制度的枠組みの有無と実効性:
森林経営おける水系の保護と水生生態系の保護に関する取り組み
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・森林経営おける水保全のための管理指針と計画策定のための補助
政策枠組みを満たす情報手段の有無と実効性:
・森林経営や保育作業中の土壌の保護に関する指針の作成
・森林経営や保育作業中の水系及び水生生態系の保護に関する指針と計画の作成(初回の排水、溝堀及び追加排水、収穫、整地、施肥、殺虫剤の使用等)
量的指標:
5.1 侵食されやすい林地の箇所数と面積
5.2 更新、整地、施肥、殺虫剤の使用及び規定の火入れにおける緩衝地帯の箇所数
と面積
5.3 初回排水の箇所数と面積
5.4 排水された泥炭地への燐酸肥料の施肥(面積、施肥量)
基準6
その他の社会経済的、文化的機能と諸条件の維持
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・森林セクターにおける雇用に関する取り組み(林野・公園局の雇用の責任、ノイチゴの採取制限など)
・職業上の建康と安全の保証
制度的枠組みの有無と実効性:
・森林セクターによる開発計画の提案(正式な計画やNGOにより作成される計画など)
・団体労働協約や賃金体系の維持
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・森林セクターへの前提条件に対する影響(予算、課税、通貨政策、地域及び国家や
EUによる構造的援助等)
・労働の供給による所得、資本及び森林に関する税制面での効果(特に、伐採搬出及びキイイチゴやキノコの採集に対する税免除)
政策枠組みを満たす情報手段の有無と実効性:
・木材及びその他林産物に関する需要調査と市場調査の実施
量的指標:
6.1 森林集落の占める割合(GDP、労働力等の)
6.2 国内総生産における森林セクターの占める割合(非木材産物の価値を含めて)
6.3 地方経済における森林セクターの重要性(国内総生産に占める割合)
6.4 生産物やサ−ビスの輸出における森林セクターの占める割合
6.5 育林や伐出作業を自家労働で行っている森林所有者を含めた、森林セクターに雇用されてる人々(育林作業、伐出、水運による流送と林産業に雇用されている人数、狩猟、採取、レクリエ−ション及び観光)
6.6 林業及び林産業の失業率
調査研究と教育
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・調査研究及び教育システムへの指導
制度的枠組みの有無と実効性:
・調査研究及び教育に関係する森林の維持および開発
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・森林セクターにおける調査研究や教育への補助
政策枠組みを満たす情報手段の有無と実効性:
・調査研究及び教育の評価システムの開発
量的指標:
6.7 森林セクターのための教育や研修を受けた人数(専門的、技術的レベルにおいて)
6.8 教育及び研修能力;森林セクターの教育や研修を受けた人数との比較において森林セクターに雇用された人数
6.9 森林所有者に対する研修
6.10 職場内の専門的、技術的研修
6.11 森林セクターにおける研究者の数
6.12 木材生産、非木材産物、森林生態系管理、生物多様性、多目的林業への研究開発資金及び全研究開発資金に占める国の割合
6.13 森林セクターの生産額に対する調査研究費の割合
レクリエ−ションサ−ビス
記述指標:
次の事項についての法的・規定的枠組みの有無と程度:
・レクリエ−ションの提供のための取り組み(人権、地域住民の狩猟権、野外レクリエ−ションに関する法規、狩猟・釣りに関する法規、用地計画に関する法規)
制度的枠組みの有無と実効性:
・レクリエ−ションサ−ビス提供の推進
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・レクリエ−ションサ−ビスへの援助
政策枠組みを満たす情報手段の有無と実効性:
・自然観察の普及促進(自然学級、ガイダンスセンタ−など)
・レクリエ−ション及び景観管理に関する調査研究の実施
・森林経営計画の策定へのレクリエ−ションの導入
量的指標:
6.14 住民の既得権として自由に入林できる森林面積及び全森林面積に占める割合
6.15 レクリエ−ションに提供できる森林面積
6.16 国立公園、公的な野外レクリエ−ション地域及び自治体のレクリエ−ション地域の箇所数と面積
6.17 自然観光:国立公園及び野外レクリエ−ション地域の訪問者の数及びハイキングル−トの利用者数
市民参加
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・環境影響評価及び森林経営計画策定における市民参加の機会の提供(建築法や育林に関する法律等)
・林業セクターにおける情報利用に関する規制
制度的枠組みの有無と実効性:
・森林政策の策定、実施及びフォローアップにおける一般市民団体や利害関係団体の参加機会の提供
政策枠組みを満たす情報手段の有無と実効性:
・市民参加手法の開発と導入
・市民に対する森林の情報及び教育/研修の取り組み
・市民や消費者の姿勢に関する調査の実施
文化的価値
記述指標:
次の事項についての法/規定の枠組みの有無と程度:
・ラップ人(Saami)および地域住民の既得権(トナカイ放牧など)の保証
・林地内の文化的記念物の保護策
制度的枠組みの有無と実効性:
・それぞれ異なる森林の伝統的な利用の維持
財政的手段/経済政策枠組みの有無と程度:
・森林に関係する文化的遺産の維持への補助
政策枠組みを満たす情報手段の有無と実効性:
・森林に関係する文化的遺産の調査研究
・文化的遺産を重視した計画を実行するための森林計画策定手法の開発
量的指標:
6.18 考古生態的に重要な箇所及びその他文化的、歴史的に重要な箇所
6.19 国家的に貴重な景勝
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