森を作るということ
何気ない海岸のマツ林
しかし、本当はものすごい大変な作業で作り上げたのです。
昭和30年代に行われた記録写真です。

風の松原と呼ばれているところです。

米代西部森林管理署作成
能代海岸防災林の造成の記録
「風に学んで」より一部拝借

身近な海岸のマツ、海水浴に行った際には、その歴史にも目をやってほしいです。
海ばかりを見るだけでなく



平成10年の海岸防災林
中央に米代川河口、南側落谷地国有林、
北側に大開浜国有林


昭和31年の大開浜の様子


昭和31年の整地風景


堆砂垣1段目


堆砂垣2段目


堆砂垣3段目

何段も作ってダムみたいにして砂を留めます。



葦簀で作られた堆砂垣


人力で杭を運搬


人力で柴を運搬


砂の移動を防ぐカヤ簀
砂面を人力で抑えています。


波浪垣(波にやられて作り直しの連続)


防風垣(葦簀で地道に人力で)


長方形や正方形に区画して静砂垣
これで植えているクロマツ(Pinus thunbergii )を風や砂から守るのです。

  
砂の移動を防ぐ静砂立工(ワラを利用)昭和34年


衝立工
植えた苗木に風に当たらないように風上に設ける


アキグミ(Elaeagnus umbellata )とクロマツの混植


ひとたび風が吹くと、苗木が見えない
砂のなかです。


強風が吹けば、木が折れるほど
また補植が必要で、常に管理しないと森が守れません。

 
松毛虫の被害 その薬剤散布 昭和34年
管理を怠ると、木々は枯れ、砂が再び襲います。

「飛砂を防ぐはなお水を防ぐが如し。砂を防ぐはまず砂の曲折を明にすべし。
 風砂を防ぐはまた宜しくその方向と風の転回とを察すべし」
栗田定之丞の言葉です。


東北森林管理局米代西部森林管理署で平成13年3月に作成せれた資料を基に作ってみました。

写真は能代営林署職員の鈴木重孝さん撮影

ほとんどの日本の海岸の松林は同じような作業で作られたものです。
江戸時代から脈々と管理を続けているので今でも海岸で森が見られています。
戦時中、戦後の国家予算がないといわれた時代にもこつこつを作ってきたのです。

森を守れとか、森林伐採反対、林道を作るな、原生林を守れ、ブナを伐るな・・・・・・
色々な人が声を大にして世論に訴えています。環境を守れと
でも、自ら森を作ろうとする人は殆ど居りません。
口は出すけど、お金を出す人も殆どいません。

日々の生活と森との間に距離があるからかも知れません。
森の大切さを身体で理解していないのかも知れません。
何も手を付けないことが自然保護と思っているからかも知れません。

でも、本当は手をかけて今の森を作ってきました。守ってきました。

本当に安心して生活するための森作りを、また森の維持管理をしている人は
コツコツと縁の下の力持ちの人は無口なんです。
ちゃんとした意味で環境を守っている、守ってきた人たちなんです。

指が土まみれになっている人たちなんです。

それほど、良いお給料をもらっているわけではありません。
ところによっては、手弁当だったりします。
でも、森がないと大変なことになるというのは分かっています。
だから、黙々と木を植えているのです。そして維持管理しているのです。
金銭的な収入以上の仕事をしておられるのです。

このページを覗いたのをきっかけに、身近な森を作った人々の事を
また、日々管理を行っている人のことを意識していただければ幸いです。

ここだけではありません。日本全国いたるところで行われています。
最近では、生活のために漁業関係者が木を植えるのを再開しました。
木がなければ、魚が捕れない、貝が取れない、生活が出来ないのです。

江戸時代から行っていた植林事業の意義を再認識したからです。(多分)
ある意味、さぼっていたんですよね

木があるということは、森があるということはすばらしいことです。
内村鑑三の「デンマルク国の話」も森を作ったことで豊かになったと
荒廃した大地を、戦いに負け、落胆した人々の心を蘇らせたと書いてあります。
デンマークは農業で成功しています。人工林のお陰で
日本が豊かであるのは、森のおかげ、緑のおかげだと信じています。

イスラムの人々は緑にあこがれています。
国旗が緑というのは緑をいかに必要と理解しているからでしょう

豊富な緑に囲まれている私たちです。
私自身何が出来るかと言われれば何も出来ません。
でも、林業の端くれとしてちょっとでも多くの人に林業の姿を知ってもらえば
と思って作ってみました。

感想をぜひ聞かせてください。

また知り合いに紹介してください。