共通 |
設問Ⅰ
1800字 |
1-1 |
林業の成長産業化を進めていく上で,情報通信技術(ICT)を積極的に森林情報の整備や林業経営,木材流通に活用していくことが求められている。
(1)林業,林産業分野へのICTの導入に関して,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)業務遂行において必要な要件を技術者の倫理,社会の持続可能性観点から述べよ。 |
1-2 |
日本では,収益性の悪化などの理由により皆伐・再造林が進まず,結果として高齢級人工林が増加している現状にある。
(1)このことから考えられる負の影響を,技術者としてのあなたの専門的立場から多面的に述べよ。
(2)(1)で述べた影響から1つを取り上げ,複数の解決策を示せ。
(3)(2)で示した解決策によって新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
(4)(3)の対策を遂行するに当たって必要な要件を,技術者倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。 |
林業・林産 |
設問Ⅱ
600字
1200字 |
1-1 |
次の4設問のうち1設問を選び解答せよ。
(1)かつて薪炭林として利用されていた広葉樹二次林が高齢化している。その発生要因を説明するとともに,天然更新の観点から森林管理上の問題点を述べよ。 |
1-2 |
マツノザイセンチュウによる松枯れについて,その発生機構と防除法を述べよ。 |
1-3 |
我が国の主要造林樹種の樹幹を対象にして「辺材と心材」,「未成熟材と成熟材」という2組の概念について,両者の違いに着目して説明せよ。また,それぞれに関して利用上の特性・留意点等を簡潔に述べよ。 |
1-4 |
木材の化学修飾についてその定義を説明せよ。また,現在,圏内で実用化されている化学修飾木材を1つ挙げ,その製造法,性能的な特徴とその性能が発現する原理,利用用途を述べよ。 |
2-1 |
①木材価格の低迷等により森林所有者の林業経営に対する意欲が低下する中で,あなたが,山間地に所在する市町村において新たな森林経営管理制度の担当者として経営管理権の集積業務を進める場合,下記の内容について記述せよ。
(1)調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2) 業務を進める手順について留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3) 業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。 |
2-2 |
②国産針葉樹材を製材する工場において,同工場内で発生する樹皮・おが粉・プレーナ屑・端材等の有効利用策を見直すことにした。同工場ではこれまで自社の木材乾燥機用ボイラの燃料としてのみ利用してきたので,今回は本件専門の検討グループを立ち上げ,パルプ工場・きのこ生産業者への販売等々まで含めて,幅広く検討することにした。あなたがこの検討グループ。の統括責任者に選ばれた場合,下記の内容について記述せよ。
(1)調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2) 業務を進める手順について留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3) 業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。 |
設問Ⅲ
1800字 |
3-1 |
一貫作業システムが再造林を促進する手段として,各地で導入されつつある。初期保育の低コスト化に着目し,森林造成の計画を策定する技術者として,以下の問いに答えよ。
(1)一貫作業システムによる初期保育の低コスト化を実施するに当たって,技術者としての立場で多面的な観点、から課題を抽出し,分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。 |
3-2 |
近年,センダンやチャンチンモドキなど,短期間で成長し早期に収穫が期待できる広葉樹の早生樹種への関心が高まっている。また,強度がある針葉樹の早生樹種として,コウヨウザンの活用にも注目が集まっている。これらの早生樹種の施業技術については,地域において実証的な取組が進展し,試験的な植栽も行われ始めている。これらのことを踏まえ,早生樹材の利用推進を担う技術者として,以下の問いに答えよ。
(1)早生樹材の利用を推進するに当たって,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し,分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。 |
森林土木 |
設問Ⅱ
600字
1200字 |
1-1 |
山地の渓流における堆砂勾配について,堆砂時期や治山ダムの計画上幾つかの勾配に分けることができる。3つ以上の勾配名を挙げその性質と治山計画を立てる上での留意事項を述べよ。 |
1-2 |
治山事業における落石防止対策としては,落石予防工と落石防護工が挙げられるが,このうち,落石防護工について,その目的を述べるとともに2つ以上の種類を挙げ,それぞれの特徴について述べよ。 |
1-3 |
補強土擁壁の特徴と用いるのに望ましい箇所について説明し,代表的な3つの工法の違いを述べよ。 |
1-4 |
林道における排水施設について,その種類を挙げながら説明し,それぞれの目的や設置に当たっての注意点を述べよ。 |
2-1 |
東日本大震災に起因する津波によって東北地方などの海岸防災林が大面積にわたり甚大な被害がもたらされたことから,現在その復旧再生への取組がなされている。海岸防災林は潮害,飛砂・風害の防備等に加え津波に対する被害軽減の機能も確認されており,これら復旧への取組の知見が今後の全国の海岸防災林の整備に生かされることが期待される。
以上のような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。
(1)東北地方などの海岸防災林の被害状況や復旧の取組を踏まえて,今後,海岸防災林の復旧・再生を図るために,検討すべき事項について列挙せよ。
(2)(1)の検討事項について,あなたが特に重要と考える技術的課題を1つ以上挙げ,その解決方策を提案せよ。
(3)将来,あなたの提案を津波被害が予想される地域に適用する際,起こりうる問題点と対応策について述べよ。 |
2-2 |
林道の計画・設計に関して,以下の問いに答えよ。
(1)林道の開設に当たっては,路線規格や利用区域等を決定するとともに,経済的・社会的な検討を行うための予備調査(路線計画調査)を行うこととしている。予備調査について,小間(3)にある景観に関する調査以外の項目を具体的に1つ以上挙げ,その内容を説明せよ。
(2)林道の線形を決定するまで、の過程を実際の手順に従って説明せよ。ただし,説明の範囲は,予備調査の後から実測量(本測量)の前までとする。
(3)林道の事業地を含む山林は,周辺から多くの人々に眺望されているため,景観に関する調査を重点的に行う必要性が指摘されている。このとき,事業を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について具体的に述べよ。 |
設問Ⅲ
1800字 |
3-1 |
近年,地球の温暖化に起因すると思われる異常な降雨が各地で見られ,それによる大規模な崩壊などの山地災害が発生している。これらの災害の発生は従来多く発生した比較的小規模な表層崩壊と異なるものがある。大規模な崩壊については,従来の防災対策と異なった対策も必要となってくることから,対策のリスクも考慮した被害の軽減が求められている。
森林土木の技術者として以下の問いについて答えよ。
(1)大規模な崩壊について,近年の降雨の特徴を踏まえてその発生機構の概略を述べるとともに,森林の防災機能,災害の発生形態等の観点から多面的に課題を抽出せよ。
(2)抽出した課題に対する解決策として,機構調査,対策調査,構造物によるハード対策を説明せよ。
(3)異常な気象条件等による新たに生ずるリスクとその対策について,主としてソフト面から述べよ。 |
3-2 |
林業専用道の作設において,常に流水のある谷を横断する場合の工法の選択について,以下の問いに答えよ。
(1)雨水流出量の予測について説明し,排水施設の通水断面を考慮、した工法の選定について,多面的に課題を抽出せよ。
(2)抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する解決策を示せ。
(3)解決策によって新たに生じるリスクとそれへの対策について述べよ。 |
森林環境 |
設問Ⅱ
600字
1200字 |
1-1 |
山地降水の流出過程に及ぼす森林の影響をもとに,水源かん養機能発揮に望ましい森林について説明せよ。 |
1-2 |
ナラ枯れの被害状況,被害の特徴,メカニズムと被害対策について説明せよ。 |
1-3 |
我が国の森林土壌において広く用いられている「林野土壌の分類(1975)の分類法を説明し,土壌分類を用いて森林環境を評価する際の留意点を述べよ。 |
1-4 |
森林のバイオマスを林分レベル及び国レベルで、調査する際の技術的概要を説明し,それぞれの調査における課題を述べよ。 |
2-1 |
シカによる森林への被害が全国的に増加・拡大している。あなたが地域(市町村程度の広がり)でのシカによる森林被害対策の担当責任者として防除業務を進めるに当たって,下記の内容について記述せよ。
(1)調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務の手順等と留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。 |
2-2 |
森林がもっている公益的機能が阻害されないように適切に開発を行うことを目的として森林法では林地開発許可制度を設けている。開発計画の立案に当たり,以下の内容について記述せよ。
(1)調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務の手順等と留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的・効果的に進めるための,関係者との調整方策について述べよ。 |
設問Ⅲ
1800字 |
3-1 |
里山の二次林は,人との関わりが薄れる中でその多くが長年放置されており,これにより森林内容が変化し,期待される多様な森林機能の低下が危惧される状況となっている。
里山二次林の保全管理計画を策定する技術者として,以下の問いに答えよ。
(1)里山二次林の保全管理対策を実施するに当たって技術者として多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題1つを挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。 |
3-2 |
持続可能な森林管理への国際的取組として我が国が参加している「モントリオール・プロセスJの基準・指標について以下の問いに答えよ。
(1)基準・指標に関わる技術的課題を多面的な観点から抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題1つを挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たなに生じうるリスクとそれへの対策を述べよ。 |