その1 サヘルの緑はヨーロッパに 遊牧するしか方法のないサハラ砂漠南部 雨が降ると草が生える。草が生えると家畜を移動 過酷な環境下で生きる知恵。農業が出来ない。安定した食料が得られないという環境なんです。それが遊牧だったんです。 そして、情報のメッセンジャーだったんです。 移動することであちこちに情報を伝えるというみんなをつなぐ橋だったんです。 しかし、そこにヨーロッパの列強が登場。黄金を求め、奴隷を求めアフリカ奥地に。そして植民地に 人為的に引かれた国境が行動範囲を狭めたのです。「国境内で移動しろと」。これで伝統的な移動ルートが消えたんです。フランスの植民地の人間はイギリスの植民地には行くな。その逆もあったんだと思います。 そしてフランスは、遊牧民に人頭税をかけたのです。金を払えと(保護してやるからという意味か)、それまで、主に物々交換であった遊牧民は、自給自足の生活以外のお金が必要になるんです。ここで牛を売って、お金を得ることを覚えるです。 牛の肉が金になることを遊牧民に教えたのです。肉はもちろんヨーロッパへ国際市場へ消えていきました。それまでは、売買の対象になっても、食べるためではなくミルクやチーズのための牛。そして、預金として(Livestockの語源) しかし、牛肉として売れるとなれば、金儲けのために、牛の頭数は鰻登りに増えたのです。 当然、今までバランスの取れていた牛と飼料の関係は、いっぺんに崩壊。ちょっとの崩壊ではなく、大崩壊。 そして今は、安い、しかもヨーロッパで売れない屑肉が、西アフリカに売られているとか。もちろん、地元の牛より安いとのこと。 さらに、牧畜に使用していた草地はフランスの商人に、ピーナツ畑、綿花畑に換えられました。 もう、土地の再生力を上回る牛の数 過放牧と過耕作 今起きている悲劇は、植民地のせいなんです。ヨーロッパ人の欲望のために消えていきます。そして、貧困ならまだしも、餓死という悪夢が背中合わせなんです。 |
セネガルの風景 アカシアアルビダ(Acacia albda)という木(雨期に落葉)です。地面はピーナッツ |
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その2 西アフリカはパンのせい たくさんの人が旱魃で亡くなってしまった西アフリカ。気候変動のせいかどうか分からないけど・・・・・ サハラ砂漠が南に南に移動したため??とも。このとき、世界からたくさんの食料援助が行われ、パンの味を覚えてしまったのです。それまでの雑穀の食事より数段美味しいパンをもう一度ということで、パンを焼くために燃料として、木を切っているのです。 そして、今まで食べていた雑穀を放棄したんです。まずいといって、食べなくなったんです。そして、農地として使っていた土地を放棄し、ヤギを飼い始めたんです。また、伝統的な農業システムを放棄し、トウモロコシを植えたのですが中米のミルパと呼ばれるトウモロコシとマメとカボチャを一緒に植えて土壌を守るというシステムを取り入れなかったのも、地力を落とし、森へ回復する力を奪ったと思います。 余談ですが、色々な本ではトウモロコシは地力を奪う作物で良くないようなことが書かれていますが、本場グアテマラで見る限りではそんなことはウソだと思います。 |
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その3 東アフリカは自然の摂理 アフリカの中央にある大地溝帯。地球の歴史は、ここから大地が広がっており、ここを境に西は熱帯降雨林、東は乾燥地。 人類も、乾燥によって密林から疎林に移行するに従って森から大地に移動したと言われています。乾燥がなければ、(西側:コンゴやガボン、カメルーンなど)ゴリラやチンパンジーのような生活をしていたかも知れません。 ゆっくりゆっくりと乾燥しているために森林が疎林へとなっています。まあ、それに拍車をかけて、薪として木を切っているのは人間ですけど。人為的な面が大きいのですが、気候的にも森林減少に向かっています。 ちなみに、乾燥化は5000年前からという説も。 エジプトの第5王朝の石碑には野にいる野獣が第6王朝の石碑では、檻の中に緑の森が描かれていないとか。 そして、一神教の誕生 エジプトのラー〔太陽〕から始まりユダヤ、キリスト、イスラムと多様な自然のある森の場合は恵みがいろいろあるので多神教になり、一方の恵みが少ない乾燥した地域では、頼れる神は、一つということで一神教に神の誕生と乾燥化は繋がっているという説もあります。 |
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その4 金儲けが金を失い、森を失う 昔からの西アフリカ(サバンナ地域)の生活の知恵それは、家畜を持つことで農業が成功すると言うこと。 家畜が糞をするとそれが肥料になり、地味が肥える。この摂理を使って、人々は生活していました。家畜の数が富と名誉の指標だったんです。農耕の季節になると、家畜は休閑地へ移動させられ、そこで飼育(肥料を落として地味の回復)。このとき、飼育するところは棘のある木で囲んだそうです。 数日毎に移動してまんべんなく地力を回復。だから、家畜を沢山飼っていると貸してくれとか、申し出があり、名誉を得たんです。乾期になればなったで、収穫の終わった農地が飼育場に刈り残った穂を食べまわるのです。 そして、夜になるとpomdodと呼ばれる共有地(村の)に集められ、一晩中ウンコをさせて、共有地の地力を維持してきました。しかし、人口増加に伴い、出費の拡大。そこで換金作物になるピーナツを植え、お金儲けに一直線 。ただでさえ厳しい土地を酷使することになったんです。時間的、空間的、精神的余裕が無くなってきたんです。そして、地味が乏しくなりガリガリの大地に。 次の世代を担う木も、稚樹の段階で家畜の餌に後継者が育たないというか、後継樹が無いため残っている木々は、日々の生活で伐られていく一方、そうやって森が無くなっていきます。 でも金儲けするなとは言えませんし。中には、伝統的な遊牧もあれば、投機目的の遊牧まで色々あります。お金持ちはより多くのを富を求め沢山牛を飼います。生きていくって難しいですね |
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その5 パォォォォン 意外と知られていない森林破壊の犯人。それはエレファント。アフリカ象なんです。 多分悪気はないんでしょうが、、高木を倒すんです。 人の生活圏でなければ、天然更新の促進になるんでしょうけど。ほっておけば良い話なので。 象の遊びともいう話です。でも、灌木の多いサバナでは、後継樹が少なくダメージは大きいんです。 アジアの象は森の働き者なんですけどねぇ。 |
サハラ砂漠の拡大を助長する人為的な行為 | ||
拡大するサハラ砂漠 一説によると地中海側(北側)に雨が降り出し緑が戻っているとか。そして、南に南に移動中とか、気候変動が大きな要因と思いますが、拍車をかけるのは人間の欲望。これは、マリの写真ですが、残っている緑を食べるのは、写真の牛やヤギなどの家畜なんです。土地の持っている許容量を超えた頭数が存在するため食べられた餌(植物)が回復できる量まで食べてしまうので、だから、やせ細る一方なんです。 家畜を多く持つことが、一族のステータスという価値観。部族の力の表す方法が、家畜の数なんです。今まではそれで良かったのですが、人口増加が資源のバランスを崩しているんですが、それに気付いていないんです。 |
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あるアフリカの森林官がいったそうです。 「森を帰すのは簡単だ。残っている森にフェンスをして家畜を入れなくすれば良いんだから」 ただ、資金の問題と農耕民と遊牧民とのトラブルが起きるし、緑が戻ってくれば、フェンスを壊して家畜を入れるでしょうから。 遊牧がいけないのではないのです。自然の中で生き抜くための生活の知恵だったからです。一カ所にとどまると、一族死んでしまうからです。ただ、人口が増え、緑・水が減りつつある今、生き方を変える時期に来ているのではないでしょうか。 農民は、下の写真のようにして緑を戻そうとがんばっています。しかし、聖書にもあるように、カインとアベル(農民と遊牧民)の殺し合いが象徴するように、数千年にわたって殺し合ってきたのだから、難しいのかも知れませんね。 |